「優勝=アレ」やで! 阪神岡田彰布新監督(64)が24日、甲子園で始まった秋季練習で本格始動した。ナインとの初対面で「1年目から優勝するつもりでいる。今日だけは『優勝』と言うけど、明日からは『アレ』目指そうとしか言わん」と岡田節で訓示。中軸三塁期待の佐藤輝明内野手(23)も「アレ目指して頑張りたい」と呼応するなど、18年ぶりの優勝を目指すチーム内で早くも「アレ」が流行語になっている。

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秋の穏やかな日差しを浴びながら、岡田監督は練習前に初対面のナインを集め、約3分間の訓示を行った。「1年目から優勝するつもりでいる。今日だけは『優勝』と言うけど」。新チームスタートとなるこの日だけ「優勝」の2文字を使い、来季V奪回への決意を選手に伝えた。

初日の練習を見守った指揮官は報道陣の前でジャンパーを脱ぎ、退任した08年以来14年ぶりの背番号「80」を披露。訓示に込めた思いを明かした。「現実に17年もしてないわけやから、あまり言うような言葉じゃないと思うし。みんなの前ではね。当然、1年目から『優勝』を狙いにいくと。そういう可能性があるから。明日からは『アレ』って言えと」と笑った。

緊張の面持ちで背筋を伸ばしていた佐藤輝も、しっかり思いを受け止めた。「僕たちはついていって、『アレ』目指して頑張りたい」と、早速「アレ」で呼応した。この日は来季固定予定の三塁でノックを受け、フリー打撃では4連発の柵越えを披露。全143試合フルイニング出場も期待されており、「そう言っていただけることはありがたい」と「アレ」を導く主軸の活躍に気合を入れ直した。

ただし、岡田監督には注文があった。三塁ベンチの柵に座ってフリー打撃を見守り、明かした。「佐藤輝は侍があるから、それまではあまり言わないようにしようと。(フォームが)バラバラで行ってもらっても困るから。水口(打撃コーチ)とも話をしたけど、そこまでは今のスタイルで」。選出された11月の侍ジャパンの強化試合終了までは、口を出さない。だが「帰ってきたら変えないといけない。変えると思うけどね」と打撃改造を予告した。

すべては「アレ」のため、主軸の佐藤輝にかかる期待が大きいからだ。解説者として入団から2シーズン見てきた。「タイミングのとり方が遅い」「(高い)グリップの位置じゃ絶対打てない」などなど、少し変えればもっと1発も量産できて確実性が増すと指摘してきた。いよいよその岡田理論を注入し、不動のクリーンアップへの成長を促す。その先に「アレ」への道筋がはっきりと見えてくる。【石橋隆雄】

★練習免除6投手と青空会談 岡田監督は練習開始前の訓示を終えると、秋季練習免除組の6投手をアルプス席に座らせ、青空面談を行った。青柳、秋山、この日FA宣言残留を発表した岩崎、FA権を持つ西勇、岩貞、ポスティング行使でのメジャー移籍を目指す藤浪の6人。約5分、オフの過ごし方や2月に向けての話をした。岡田監督は「これから会う機会も少なくなる。FAとかの選手もいるけど、そら自分たちの権利だから。とやかく言う必要はない。来シーズンも一緒にできるんだったら、戦力として考えていると言った」と明かした。

甲子園で行う秋季練習の1週間を使い、個別やポジションごとの面談を行い、選手たちとコミュニケーションをはかる。「どういう考え、性格とかも、しゃべってみんと分からん部分もあるからな。いっぺんにできんからちょっとずつやっていくよ」。孫の年齢ほど年の差がある選手たちに対話重視で向き合う。

▽阪神青柳(岡田監督と青空面談)「オフの過ごし方は任せていると言われました。後半勝てなかったので、1年間活躍するには、どうしたらいいかを考えています。やらなきゃいけない立場になっていると思う」

〇…阪神岡田監督が訓示した「アレ」が、早くもナインに浸透してる。秋季練習初日、佐藤輝だけでなく、湯浅やFA宣言し残留を表明した岩崎、フロントの嶌村球団本部長までが「アレ」の表現を使った。「アレ」は岡田監督がオリックスで指揮を執った10年の交流戦で選手が「優勝」を意識しすぎないようにと置き換えたフレーズ。コーチや報道陣まで「アレ」と表現し、チームは初優勝を飾った。「アレ」が阪神で再び流行語になり、18年ぶり歓喜への合言葉になりそうだ。

○…日本ハムからトレード移籍した「直球破壊王子」こと渡辺諒が、目標の「開幕二塁」へ始動した。秋季練習でチームに初合流。二塁でノックを受け、甲子園を体感した。「土の具合も毎日違うと思いますし、それで合わせなくちゃいけない。送球ミスがないよう投げるための捕球だったりとか全然違うので、明日からもやっていきたいなと思います」と引き締めた。パ・リーグと比べ「セ・リーグはマツダもありますし、守備力は大事になってくると思う」と強打に加えて堅守もアピールする。

○…伊藤将が移籍の高浜と横浜高校時代以来となる再会を果たした。「高校生以来だったので、久しぶりというか、久しぶりすぎて絡み方忘れちゃって」と笑顔。「一緒に1軍でプレーできたらいいなと思います」と共闘を楽しみにし、「人見知りとか言ってましたけど、そんなことないと思います」と、ナインとの橋渡し役も買って出る。

○…日本ハムから新加入した高浜が甲子園で筒井外野守備走塁コーチの指導を受けながら左翼守備を練習した。外野挑戦への決意を示した移籍会見から一夜明け、早速新本拠地を確認。「結構、今日も風が吹いて、伸びなそうな打球も結構伸びていた。鎌ケ谷で練習した感じとは、ちょっと違う感じがしました。あとは、天然芝なんで、打球が、ゴロが死ぬなと感じました。多分、レフトになると思うので、しっかりアピールしたい」と意気込んだ。

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