ヤクルト高橋奎二投手(25)が、日本一を懸けた大舞台で2年連続勝利を飾った。日本シリーズ第3戦に先発し、オリックス打線を6回3安打無失点に抑えた。初登板初完封だった昨年に続く無失点投球で、15イニング連続の0行進。敵地のマウンドで躍動した。左腕3連投の先陣を切り、第4戦で先発する42歳石川へバトンタッチした。

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舞台が大きければ大きいほど、本領を発揮する。高橋の腕が、またしても日本シリーズでうなった。4回に迎えた最大のピンチは1死二、三塁。6番中川圭、杉本と続く“クリーンアップ級”の打者に「1つアウトをとれて、もう1回集中できたというか、ズルズルいかなかった」。最速150キロの直球と、最遅102キロのカーブ。50キロ近い緩急をつけて追い込むと、最後は直球。いずれも空振り三振を奪った。

日本一をかけた大舞台で、初回から粘りに粘った。先頭の福田に四球を与え、犠打で1死二塁。打者は最大の敵、吉田正だった。中飛に打ち取り、4番頓宮も空振り三振。試合前日は勝つためにカツ丼、当日は粘るために納豆を食べて験担ぎ。「どっちかというと力というよりはコントロール重視。ギア上げるところはギア上げられた」。中村のミットめがけてテンポよく投げ込み、チームにリズムをつくると、5回の山田の先制3ランを呼び込んだ。

2年連続での対戦となったオリックスに対し、0行進を続けた。昨年は史上13人目となる日本シリーズ初登板初完封という偉業に続く快投で15回連続無失点。大一番での勝負強さで、高津監督に「僕はずっとフラフラしている奎二を見てきているので、すごくうれしいし大きな成長を感じますよ」と言わせるほど、精彩を放った。

シーズン中はYouTubeで母校・龍谷大平安(京都)の密着動画を見て、ひたむきに白球を追う後輩の姿を目に焼き付けた高橋。大役を果たし「勝てるのが一番いい。チームが勝てるように投げて、その結果こうやって勝ち投手になれてすごいよかった」。今年も殊勲の白星を手にした。【栗田成芳】

▼高橋が6回無失点で、シリーズ通算2勝目。高橋は初登板だった昨年の<2>戦で完封勝利。シリーズ初登板から、先発で2試合続けて無失点に抑えて勝ったのは、美馬(楽天)に次いで2人目。美馬は巨人との13年<3>戦で5回2/3、同<7>戦で6回無失点で、ともに勝利した。高橋はこれで初登板から15回無失点。シリーズ初登板からの連続イニング無失点は岩瀬(中日)の17回2/3が最長で、記録に迫っている。

◇龍谷大平安・原田英彦監督(ヤクルト高橋の恩師で、昨年の第2戦に続いて京セラドーム大阪で観戦) 日本シリーズの前に「力むなよ」というラインを送ったんです。心配なのはそこだけだと思っていたので。本当に力むことなく、落ち着いて投げていましたね。昨年は相手の宮城投手をすごく意識しているのが見てとれた。今年はそれもなく、自分の仕事に徹していました。4回のピンチのところではギアを上げて、2人の主軸打者をきっちり三振に。ああ、成長したなあと感じました。コロナなどシーズンはいろいろあったようですが、終盤の大事なところでこういうピッチングができる。プロの投手としてまた階段を上がったなと感じました。

◆昨年の高橋vs宮城VTR オリックス1勝で迎えた、21年の日本シリーズ第2戦。レギュラーシーズンで完投もなかったヤクルト高橋が133球を投げて5安打5奪三振、三塁を踏ませることなくシリーズ初登板完封勝利を挙げた。オリックス宮城は8回途中5安打1失点と好投したが打線が高橋を捉えきれず。ヤクルトが2-0で勝利し、1勝1敗のタイに戻した。

○…リリーフ陣が大量リードを守り切った。先発高橋の後を受けた石山は7回2死一、二塁のピンチを招くも無失点で切り抜けた。3番手清水は8回を3人斬り。9回に打線がリードを7点に広げると、久保と小沢が日本シリーズ初登板。小沢は1失点も、守護神マクガフを温存して白星を収めた。

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