来春の1軍キャンプ“内定”よ! 21年ドラフト4位の阪神前川右京外野手(19)が、豪快なバックスクリーン弾で岡田彰布監督(64)の度肝を抜いた。高知・安芸での秋季キャンプ2日目。フリー打撃で自慢のパワフルスイングをさく裂させ、ホレ込んだ岡田監督から2月の沖縄・宜野座キャンプ招待権をゲットした。智弁学園(奈良)で昨夏全国準優勝を果たした高校37発の左のスラッガー。外野バトルに殴り込みだ。

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バッコ~ン! 前川がメイングラウンドにとどろかせた衝突音が、来春1軍キャンプへの号砲だった。フリー打撃で、ケージから飛び出した白球は中堅118メートルのフェンスを優に超え、濃緑のバックスクリーンに直撃した。「バットの出方も捉えた感じもボールの角度も良かった。伸びるかなと思って見ていたら、入った」。祝日で1200人が集まったファンをこの日一番に沸かせた。

大満足の一撃は岡田監督の心も満たしていた。「結構パンチ力もあるもんな。強引じゃなしに、バットが素直に出てその割に距離もちょっと出るよな」。キャンプ前から期待は大きかったが、逆方向への強い打球に加え、長打力も兼ね備えた“ナマ前川”の豪快スイングにほれぼれ。「体は亀山のスケール大きくしたような。スタイルが似ている。ユニホームの着方とかな」。ストッキングを膝まで上げる同じオールドスタイル。現役時代6年間一緒にプレーし、左の巧打者として一時代を築いた亀山努氏(53)をパワフルにしたタイプとなぞらえた。

指揮官の期待は止まらない。「1、2軍振り分けても(春季キャンプ地がともに沖縄で)近くにおるからな。そういうの(1軍レベル)と一緒にやらしてみても面白いかもわからへんな」。来季の春季キャンプで1軍に招集する可能性は大。いや、間違いなく呼ぶだろう。来季構想で中堅近本以外の両翼は未定。熾烈(しれつ)なバトルをさらに熱くする起爆剤の期待だ。

ただ今の前川に来春を見据える余裕はない。「質も内容も全然違う。量も多い」と話すプロの秋季練習に連日ヘトヘトだ。この日も全体練習後に個別で特打と特守を行った。与えられるメニューに「めっちゃきついです」と顔をしかめる。それでも「振れるときがあったら振って、自分を追い込まないといけない時期」と無心で汗を流している。

両翼の他、クリーンアップも大山と佐藤輝のみ確定で、1枠は空いている。「来季勝負していけるような体力であったり、技術であったりをレベルアップしていかないと」。初の1軍春季キャンプで大暴れすべくるべく、収穫いっぱいの安芸にする。【前山慎治】

◆前川の歩み 智弁学園(奈良)で37本塁打を放ち、昨夏甲子園準優勝。ドラフト4位の入団会見で矢野監督から将来つけたい背番号を問われ「(金本さんの)6番です!」と笑顔で即答した。春季キャンプは2軍安芸で休日返上で振り込んだ。お試し1軍で呼ばれた3月13日のオープン戦の巨人戦(甲子園)は、マルチ安打の鮮烈デビュー。だが3月下旬と6月中旬の2軍戦で上半身のコンディション不良で戦列を離れるなど、1軍出場は0に終わった。1年目の2軍公式戦は21試合で打率2割5分、3本塁打、7打点。

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