伝統の早慶戦は、早大が劇的なサヨナラ勝ちで先勝した。1点リードの6回1死二塁、西武ドラフト1位の蛭間拓哉外野手(4年=浦和学院)が、バックスクリーン直撃の2ラン。いったんは試合をひっくり返されたが、3-4で迎えた9回2死満塁で、松木大芽外野手(4年=金沢泉丘)が右前へポトリと落とすサヨナラ2点適時打を放った。勝ち点を挙げれば優勝の慶大は、後がなくなった。早大が勝ち点を挙げた場合は、明大が優勝する。

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“早慶戦の申し子”と言える存在だ。蛭間の執念が勝利につながった。6回無死一塁、中川卓也主将(4年=大阪桐蔭)が犠打を決めた。もうラストシーズン。2人で「なんとか4年生でいくぞ」と約束していた。

1死二塁、蛭間は初球126キロ変化球をとらえ、打球はバックスクリーン直撃の2ラン。一塁を回った所で右手拳を突き上げた。今秋は早慶戦を前に打率1割4分3厘で本塁打ゼロ。「ふがいなくてチームに申し訳なかった。なんとかかえそうと思った」と現役最多タイの通算13号。早慶戦は今春から3戦連発で、通算5発と勝負強さが光る。8回にも三塁打を放ってほえた。担当の西武・竹下スカウトは「こういう舞台で結果を残せることが魅力の1つ。改めてドラフト1位と確信した」と話した。

慶大・増居翔太投手(4年=彦根東)を打ち崩すため、イメージトレーニングを重ね「今日は打てる感覚がありました」。小宮山悟監督(57)は「野球は数字がついて回る。打ってくれてホッとした。本当によかった。すばらしい能力を持った選手」とたたえた。【保坂恭子】

▽早大・松木(9回にサヨナラ適時打。野球は大学で引退)「なんとか勝利に貢献しようと思った。自分なりには、やりきれた4年間だった」