見たことのない、極上の“引退試合”だった。日本ハム杉谷拳士内野手(31)は最後まで愛されながら、プロ野球人生に幕を下ろした。現役最後の試合が終わると日本ハムの後輩たちに加えて、三塁側ベンチから日本を代表する侍メンバーもマウンドへ集結。背番号2が5度、宙を舞った。

杉谷 今まで野球しかやっていなかったですけど、歩んできた道が間違ってなかったんだなと思える、そんな幸せな瞬間だった。

試合前から泣いていた。シートノック後のベンチ前での円陣。最後の声出しを担当した。「これが最後の円陣になります」と元気よく切り出したが、次第に寂しさが込み上げた。「その場に俺、来年はいないんだな」。そう思うと涙があふれてきた。「もう本当にダサすぎて」と反省も、伝えたいことは言い切った。

杉谷 ファイターズが強くなるために、本当に思っていたことを伝えました。今は弱いですけど、絶対に彼らがエスコンフィールドの歴史をつくると僕は思っています。

7回。代打で現役最後の打席を右飛で終えると、再び号泣した。「みんなが出迎えてくれていたことがうれしかったんですけど、両親に目が行ってしまいまして…。そこでウルウル来てましたね」。みんなを笑顔にさせてきた男は、万雷の拍手に包まれながら、また前に進むパワーを注入した。【木下大輔】

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