広島からドラフト7位で指名された大阪観光大・久保修外野手(22)が15日、大阪市内のホテルで担当の鞘師スカウト、松本スカウトとともに契約金2500万円、年俸600万円で仮契約を終えた。背番号は56に決まった。(金額は推知推定)

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走攻守、3拍子そろった22歳は仮契約を終え、分岐点となった恩師の言葉を思い返した。

大学2年の夏、久保は練習中に左足首を捻挫した。同時期に新型コロナウイルス感染のまん延が重なり、野球から遠ざかってしまったという。

「外に出たり練習もできないところで腐ったというか、何をするにも嫌になった時期でした」

約2カ月、学校からも練習からも遠ざかった。そんな時期から抜け出させてくれたのは、同大学で指導する伊勢孝夫特別アドバイザー(77)だった。

入学時から指導を受ける恩師から「お前の心境を聞かせろ」と電話が入り、グラウンドへ。「野球も大学も辞めたいと思っています」と報告すると、初めて「お前はアホか」と怒られたのだという。

「お前はプロでも絶対やっていける選手やから、そんなことで諦めてどうするんや。ワシの夢はお前がプロで活躍すること。活躍する姿を見たいんや」

熱い言葉の数々を浴びせられ、ハッと目が覚めた。

「絶対にプロに行って活躍して恩返ししたいと、そういう気持ちにさせてくれた言葉でした」

恩師の電話が、夢をかなえるきっかけとなった。

広島からの指名を受けた後、あらためて言葉を交わした。カープでコーチ経験もある伊勢アドバイザーからは「12球団で1番練習量がしんどいチーム」と伝えられたという。

「すごく走ると聞いていますし、練習時間も長いと言っておられた。ついていけなかったら意味がない。走り込みやウエートトレを一番意識しています」

担当の鞘師スカウトはその潜在能力に目を細め、「足と肩は100%通用する。打てる方だって全然悪くない」と太鼓判を押す。

1年目の目標は「1日でも早く1軍の舞台で、自分が試合に出ること」。

恩師とつかんだ夢の続きが始まる。【波部俊之介】

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