広島が21日、若手中心の宮崎・日南秋季キャンプを打ち上げた。監督としての船出となるキャンプを終えた新井貴浩監督(45)は「100点満点です。練習もしっかりできましたし、元気良く、明るく、厳しく、100%のキャンプだったと思います」と完走した選手たちの姿勢をたたえた。

新井イズムが詰まった14日間だった。ミスをとがめず、ミスから学ぶ重要性を説いた。短所を消すのではなく、長所を伸ばすことに重点を置いた。コーチ陣も一方通行にたたき込む指導ではなく、ともに考える指導法をとった。首脳陣が前向きな声をかけながら、最後まで活気あるキャンプとなった。新井監督は「思っていた通り、投手も野手も全員、まだまだこれから楽しみな選手ばかりと感じたと。全員いいものを出してくれたなと思います」とチームの底上げに、一定の手応えを得た。

秋季キャンプが終わり、選手たちはオフに入る。来年2月1日から始まる春季キャンプでは、秋季キャンプに参加した選手たちも1軍と2軍に振り分けられる。「2軍スタートになっても、何も悲観的になる必要はないよと(伝えた)。チャンスはずっとあるし、競争もずっと続くよと。それはシーズンに入っても、キャンプだけじゃなく、オープン戦に入ってもだよと」。来春キャンプから頻繁に1軍、2軍の選手を入れ替えながら幅広く選手を見ていく方針を伝え、選手のモチベーションを高めた。

最終日の練習前の声出しは選手ではなく、参加コーチの中で最年長の菊地原投手コーチが務め、大きな笑いが起きた。練習後の一本締めの後には、新井監督発案の首脳陣、選手、スタッフ全員がハイタッチと、最後まで新井流キャンプだった。【前原淳】

〇…藤井ヘッドコーチが、新井イズム浸透のパイプ役となった。精力的に動きまわり、選手、コーチ陣と積極的にコミュニケーションを取った。特にコーチ陣とは指導方針を共有。押しつけず、個々の思いと感覚を聞きながら、選手に寄り添う指導がとられた。「全部(選手の意見を)聞くことはダメなんですけど、やらすことは、やらす。その中にどういう意識で選手がやっているのかを大事にして。強いチームには絶対欠かせない選手がいる。例えば足の速さだったり、打つ方だったり、守りだったり、トータルでチーム。新井監督を胴上げするために、(コーチ陣の)僕らがどうやって動くか。より強いチーム、勝つチームになればいいと思っている」。選手自身が考え、主体的に取り組むキャンプを支えた。

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