「徐々に実感が湧いてきました」。ドラフト4位茨木秀俊投手は淡々とした口調の中に阪神の一員になる喜びをにじませた。

仮契約は故郷の北海道、札幌市で交わした。実家に戻ったのは8月の夏休み以来。その時にプロ入りの意思を両親と確認した。それから3カ月、今度はプロへの第1歩を示す帰省になった。仮契約後のオンライン会見で改めて意欲をみせた。現在147キロの直球の最速を「150キロ台、155キロを超えたい。勝てる投手を目標にしている」。

23日のサッカーW杯、日本-ドイツ戦は刺激になった。母校の帝京長岡サッカー部は全国高校選手権で2度の4強入りする強豪。クラスメートにも部員がいて仲がよく、選手権県大会にも応援に駆けつけた。強敵相手に粘り強く戦う日本代表の姿に感動し「自分もああなりたい」と共鳴した。

阪神・筒井和也スカウト(41)は「将来は先発、完投する投手になってほしい」と期待を寄せる。帝京長岡の芝草宇宙監督(53)は「プロはやるか、やられるか。茨木には今はそれしか話していない」と心構えを説き続ける。茨木も自覚している。「日本球界を代表する投手になれるように頑張る」。サッカー界の快挙に触れ、臆せずに挑戦することを誓った。【斎藤慎一郎】