“ロマン砲”の覚醒が始まった。日本ハム江越大賀外野手(29)が5日、沖縄・名護キャンプで行われた紅白戦で“移籍初アーチ”を放った。5回の第2打席で左腕長谷川から左翼芝生席へ弾丸ライナーを運んだ。「いやぁびっくりしました」。無理もない。イメージとしては「5、6割の力」で振って、驚きの打球スピードと弾道。「あ、いっちゃった」と思ったのも本音。これぞ「新庄覚醒工場」の成果だ。

阪神から移籍した昨秋から新庄監督が“江越専属打撃コーチ”に就任。「考え方というか、スイングの感覚」を指導されてきた。まずはバットに当てる。打球はゴロでいい。バットは指2本分、短く持つ。そして「本塁打を打ったら罰金」。裏を返せば、安打狙いの延長線で柵越えが放てるポテンシャルがある。だから、フルスイングは封印した。

現在はスイングスピードを90キロ台にすることを心がけている。ちなみに、バックスクリーン直撃の豪快弾を放った万波は約130キロだが、江越は指揮官から教わった「インパクトも軽く振る」を、忠実に実行。2回の第1打席も外角の直球を「しっかりヘッドが返らずにうまく打てた」と、中前打。同じ感覚で内角をさばいて、1発が出た。

試合後の新庄監督は、本塁打を打った江越への罰金は「いや、もうないです」と即答。「ホームランを打とうと思って打ってないんでね。打撃でいう『払う』。彼は力がある。ポンって“払って”あげたら、あの打球がいった。別に褒める内容でもないかな」。バットだけ、払えばいい。江越も「期待に応えたい」と、新天地で覚醒し続ける。【木下大輔】

○…万波が1本塁打含む2安打3打点と気を吐いた。2回の第1打席で杉浦からバックスクリーン直撃のソロを放ち、6回無死一、三塁では右中間へ2点適時二塁打。1日の最初の紅白戦は無安打とあり「1本出てほっとした」。オフの間に5キロ増量しパワーアップに成功。「スイングスピードも13キロぐらい上がった。(本塁打は)合わせた部分が強かった中で、あれだけ飛距離が出たのは驚いてます」と振り返った。

○…矢沢がプロ“初打点”を挙げた。紅白戦で2番DHで先発。1回1死三塁の場面で、犠飛を放ち、三塁走者の五十幡の生還につなげた。「犠牲フライは浅かったですけど五十幡さんの足もあった。打点が付いたというのは良かった」と手応えを語った。実戦を重ねて課題を探っている。「課題を見つけるためにも自分のスイングをするための準備をしっかりして打席に立てたことは良かった」と語った。

【日本ハム】2度目の紅白戦 万波がバックスクリーン直撃弾 江越は左越えソロ/詳細