悲願の初優勝へ、残り2勝とした。花巻東(岩手)がタイブレークの末、折尾愛真(福岡)をサヨナラで下し、春は初の4強入り。千葉穂乃果捕手(2年)が一振りで熱戦にピリオドを打った。

1球で仕留めた。4-4の同点で迎えた延長8回1死満塁。「積極的に打とうと思っていた」。相手投手にとって、押し出しも許されない状況。積極的にストライクを取ってくることは想定内。だからこそ初球を狙い、外角の緩いカーブを流し打ち。右翼へサヨナラ犠飛をマークし、接戦勝負を制した。「試合に勝ててうれしい」と声を弾ませた。

紙一重の差だった。浅い飛球にも、三塁走者の赤井梨音外野手(2年)は迷いなくホームへと突っ込んだ。三鬼賢常監督は「勝負どころだった。(打球が浅くても)『勝負しろ』と指示を出した」。本塁のクロスプレーは間一髪でセーフ。捕手のタッチをかいくぐり、伸ばした左手でベースに触れた。「自分の持ってる力を発揮してくれた」と、指揮官の起用に応える“神走塁”だった。

大会前の3月13日からは10日間、山梨でキャンプを張った。オープン戦7試合で試合勘を高めるとともに、チームとしての成熟度も上げることができた。春の頂点まで、あと2つ。昨秋のユース大会では準優勝と、着実に力をつけてきた。劇勝の勢いそのまま、日本一まで一気に駆け上がっていく。