1軍未登板の大器が大役を任された。高卒3年目のオリックス山下舜平大投手(20)が、31日の西武との開幕戦(ベルーナドーム)で先発する。30日の練習で中嶋監督が明言した。「開幕戦でもちろん緊張するでしょう。初登板も緊張すると思いますけど、いっぺんにやっちゃった方がいいかなと」。球団で1軍で初登板の投手が開幕投手を務めるのは、54年の新人だった梶本隆夫以来、69年ぶりの快挙だ。

当の本人は「今の気持ちは…あまり緊張もしていなくて。開幕という特別感も自分はあまり持っていないです」といたって自然体。最速158キロの可能性豊かな右腕から、リーグ3連覇への戦いがスタートする。

20年ドラフト1位入団ながら、腰の成長痛などで苦しみ昨季は2軍で8試合登板のみ。オフに両くるぶし付近の骨の摘出手術を受けると、今年のオープン戦では開幕日となる金曜日に好投を継続。体の状態やWBCに出場した山本、宮城との兼ね合いもあったが、最後に先発の座をつかんだ。

山本が開幕投手を務めた昨年は、同じ西武相手に勝利し開幕戦連敗を10で止めた。「勝つことしか考えてないです」と山下は続く決意。エースからも「勝てよな」と背中を押された。

相手の強力打線には、自身を「千賀、山本、佐々木朗希とかと同じ目線で見ています」と称賛してくれた山川がいる。「侍ジャパンで世界一の方なので、言っていただけるのは自信にもなる。負けないように投げたい」。侍戦士から託され、侍戦士を抑え、初登板初勝利をつかむ。【磯綾乃】