DeNAドラフト3位ルーキーの林琢真内野手(22)が、11日のヤクルト1回戦(神宮)で苦難の末にプロ初安打を記録した。3回無死、サイスニードから左前打を放った。眠れない夜も経験しながら、23打席目で生まれた一打の裏側に潜入した。【取材・構成=久保賢吾】

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一部指名選手の練習日だった13日、林は自主練でハマスタを訪れた駒大の先輩の戸柱からお祝いのかばんをプレゼントされた。サプライズに驚きながら「めっちゃ、うれしかったです」と感激。11日は戸柱の誕生日で、試合前の声出しで祝福の言葉を贈ったが、先輩の優しさに心が震えた。

開幕から奮闘する中、眠れず、朝が来ることに恐怖を覚えた夜がある。3月31日の阪神との開幕戦。「2番三塁」でスタメン出場したが、2失策が失点に絡み、チームも敗れた。

「寝れなかったというか、寝たくなかったです。次の日が来てほしくなかったです」

心がモヤモヤする中、何度もちゅうちょしながら、勇気を振り絞って、守備の動画を再生。「見るまでには時間がかかったんですけど、見てからは長かったです」。眠りにつけたのは午前3時ごろだった。

無安打の中でも周囲の支えが身に染みた。石井チーフ打撃コーチからは、2番で起用される意味を説明され「ちゃんと整理して、やっていけばいいから」と助言を受けた。ヒットは1本で打率4分5厘ながら、「2番遊撃」に定着後はチームも5勝1敗。持ち味の粘っこさや進塁打、犠打などで1番佐野と3番宮崎のつなぎ役を果たす。

迷いや戸惑いは消え、自らの生きる道も見え始めた。「自分のやることをやる。1つの流れを作れる選手になりたいです」。「ハマのスピードスター」を目指しながら、今は「ハマのつなぎ役」で貢献する。

◆林琢真(はやし・たくま)2000年(平12)8月24日生まれ、愛知県出身。東邦では3年春のセンバツに出場し、駒大4年時には大学日本代表に選出された。22年ドラフト3位でDeNAに入団。50メートル走5秒7の俊足が武器で、シュアな打撃と三塁、遊撃、二塁、中堅も守れる器用さも兼ね備える。174センチ、74キロ。右投げ左打ち。

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