ロッテ佐々木朗希投手(21)が、世界一の侍右腕対決を制した。WBCの僚友で実力を認め合うオリックス山本由伸投手(24)と初めてのマッチアップ。昨年4月10日の完全試合の再現を予感させる内容で5回まで完全投球を演じた。快挙再びはならずも、7回1安打11奪三振無失点で、タイトルも争う宿敵に投げ勝って2勝目。ダルビッシュから学んだスライダーを左打者にも使う進化を示した。「令和の怪物」VS「球界の絶対エース」の名勝負は、互いのさらなる成長にも拍車をかける。

佐々木朗が侍ジャパンの「先発4本柱」をともに担って世界一となった山本との激戦を終え、充実感に満ちていた。「WBCでも一緒に戦って、普段もすごく優しい先輩。投げ合う機会があってすごくうれしい」と柔和だった。一方で究極の勝負との覚悟だった。「日本一の投手だと思っているので、1点取られたら勝てないと思っていたので、初回からランナーを出さないつもりで。ゼロに抑えることだけ考えた」。初回から160キロ超の直球を連発し、3者連続奪三振でスタートした。

山本を上回って無失点を貫く勝負手は、ダルビッシュ伝授のスライダーだった。「今日は特に感覚も良かったので、投げたいように投げられたのかなと思う」。これまでは右打者限定だったが、首位打者経験もある左打者の森に、勇気を持って有効的に使うことで投球の幅を広げた。

4回の森の打席。初球からスライダーを投じ空振りを奪う。2-2から再び投じた低めのスライダーはボール。だが、次のストライクゾーンへの148キロフォークへの布石となり、スイングを許さない見逃し三振。この日2度目の3者連続で、2戦連続で奪三振も2ケタに乗せた。

昨年4月10日の完全試合の日と同じ「BLACK BLACK」デーで、ビジター用の黒のユニホームを身にまとった。球場内では「完全試合記念品展示ブース」が設置された。6回先頭の西野に四球で初の走者を許して完全が消えると、続く若月には中前安打を喫した。初のピンチに大観衆も「ササキ」から「ロウキ」に変わった大音量コールで背中を押す。茶野を11個目の三振で封じると、7回も「体力的には厳しい中でゲッツーで投げきれたのは良かった」と納得の表情だった。

ライバルの存在が佐々木朗の成長を確実に促す。「冠」と目標を掲げ、優勝と最多勝や防御率の個人タイトルに挑む今季。「投手4冠」「沢村賞」の山本を圧倒する好内容に「シーズン序盤なので気にせず、1試合1試合積み重ねて、その中でイメージ出来るものかなと思います」と手応えも。また1つ進化した。【鎌田直秀】

◆ロッテ吉井監督(佐々木朗の好投に)「うちのエースになってもらわないといけない投手。前半から飛ばしていたので苦しかったと思いますけど、1-0のゲームは本当にプレッシャーもかかるし、大きく自信になると思うので、この後も良い方向に行くんじゃないかと思います」

◆WBCの佐々木朗と山本 昨オフには番組の企画で、2人でWBCの決勝ラウンドが行われた米フロリダ州マイアミの「ローンデポパーク」へ。WBC本番では3月11日の1次ラウンド3戦目チェコ戦で佐々木朗、同12日の同4戦目オーストラリア戦で山本と続けて先発した。同20日の準決勝メキシコ戦では、先発佐々木朗の後を受けて山本が登板した。ともに失点するも、ヤクルト村上のサヨナラ打で「マイアミの奇跡」が起きた。試合後には2人で一緒に、村上に祝杯のドリンクシャワーを浴びせた。