最後は自分で白黒つけてこい! 阪神先発西勇輝投手(32)が、岡田監督の猛ゲキに応え、完投で今季の1勝目を挙げた。8回まで114球を要し、無失点投球。そんな8回裏の攻撃中、ベンチ裏で指揮官から声をかけられた。

「最後やし、いってこい! 白黒つけてこい!」

2回裏から4回表まで雨が降った肌寒い甲子園。熱い続投指令が飛んだ。燃えないはずがない。「僕も、分かってます、と。交代したくなかった。体は元気やった。9回を投げさせてもらえることに感謝してマウンドに上がりました」。

9回2死からマクブルームに適時打を浴び1点を失ったが、その裏、逆転サヨナラ勝利。9回128球、4安打、6奪三振、1失点の熱投が報われた。「結果的に1点取られて、あの1球はほんとに悔やむ。次は最後まで後悔のない球を投げていきたい」。勝ってもなお反省を忘れない背番号16の気迫ピッチがなければ、劇勝は生まれていない。

3試合連続クオリティー・スタート(6回以上自責3以内)をマーク。ただ、前の2試合はいずれも7回を投げ切れなかった。「何とか7、8、9と自分の限界に挑戦して。この穴を抜け出したかった」。しかも、守護神湯浅が右前腕の張りで出場選手登録を抹消される緊急事態。前日17日の甲子園練習で「完投いきたい」と燃えていた右腕が、予告通りの白星をたぐり寄せた。

仲間のゲキにも支えられた。9回に失点するとすぐ、「点取り返します」と中野らが声をかけてくれた。お立ち台でサヨナラ打の中野に「大好きです!」と言い、照れ笑い。「あのまま0-1で負けたとしても、尾を引くような感じじゃない。一丸となって勝てた1勝」。8回は自らの好フィールディングで相手犠打を阻止。ワンチームで連敗を2で止め、DeNAと並ぶ首位再浮上に大きく貢献した。

背中を押した岡田監督も「西に勝ちが付いて、初戦を取れたというのはめっちゃ大きいんじゃないですかね」と喜んだ。火曜日の男が見せた気迫と気概が、虎の首位戦線を引っ張る。【中野椋】

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