スズキがメルセデスに勝利した。

今季初先発の日本ハム鈴木健矢投手(25)がロッテのクリストファー・クリソストモ・メルセデス投手(29)と投げ合い、6回を投げ、1安打無失点と好投し、連敗を4で止めた。1日には中継ぎで球団の新球場1勝を手にしており、今度は先発登板でチームトップの2勝目を挙げた。防御率0・00と安定感抜群のサブマリンの好投で、5位楽天とは1差。21日からの直接対決で、最下位脱出を狙う。

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鈴木が、のらりくらりとロッテ打線を翻弄(ほんろう)した。「連敗ストップがかかっていたので緊張しましたけど(捕手の伏見)寅威さんを信じて思い切って投げました」。3回まで毎回ランナーを背負うも無失点。2回は先頭の安田に左翼線二塁打を許すも「1点ならOK」と力まずに投げ続け井上、ポランコ、田村を抑え、3回も先頭の平沢に四球を許した後、好調藤原を併殺に打ち取り、ピンチを切り抜けた。

「ストレートとほぼ同じか速いぐらい」という120キロ台後半のシンカーに、スライダー、80キロ台のカーブを織りまぜる。さらに、超クイックでタイミングをずらし、凡打の山を築いた。当初は5回までの予定も、新庄監督から「もう1回行ってほしい」と要望があり続投。しっかり3者凡退に抑えると、建山投手コーチから「あの6回が一番良かった」と評価された。この“おかわり”が他の投手陣も波に乗せ、4投手での今季初完封リレーにつなげた。

昨年から下手投げに挑戦。このオフは同じ千葉出身で元ロッテの「ミスターサブマリン」渡辺俊介氏(46)の元で自主トレを敢行。そこで伝授されたのが「力は抜けば抜くほどいい」という脱力理論。渡辺氏の著書も読み込み、より腕が下から出るように突き詰めた。鈴木は「力が入ると起き上がりが早くなる。抜いて投げると低いままいける」。昨年9月27日にプロ初先発勝利を挙げたのもロッテ戦。偶然にも師匠の渡辺氏が活躍した相手から、2戦連続先発勝利を挙げた。

昨年、初めて先発を経験した際は「吐き気がして何も食べられなかった」。経験を積み「今日はむしろおなかがすいてしっかり食べられました」とメンタル面も成長。地面すれすれから投じる独特なボールを駆使し、チームを上位へと引き上げる。【永野高輔】

▽日本ハム伏見(鈴木を好リード)「制球も良かったですし、僕のリード関係なく、健矢自身がタイミングをずらしたりもしていたのも良かった」