ボロボロの敗戦から、よみがえった。日本ハム上沢直之投手(29)が、8回途中まで8安打を浴びながら3失点と踏ん張り、今季2勝目を挙げた。前回登板の15日西武戦は自己ワーストタイの9失点で敗戦。ベストの状態を求めて空回りした反省から、現状を受け入れることで自らを立て直した。

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とにかく思い切って投げた。序盤から制球を乱す場面があったが、上沢は「自分の良い時を求めすぎないように。状態が良くないことを受け入れて投げました」。5回無死満塁のピンチでは、「(捕手の伏見)寅威さんやみんなが最少失点で何とか切り抜けようと話してくれて楽になった」と無失点。仲間の声に耳を傾け、必死に腕を振り、勝利を引き寄せた。

前回登板は自己ワーストタイの9失点。チームも0-10で大敗と散々だった。普段はグラウンドを離れると野球のことは極力考えないようにしているが、「調子が悪いとつい気になって」と自身の動画を見直し、子どもが寝静まった後にシャッドーピッチング。「僕がこのチーム状況を作り出している。波に乗りきれないというか、僕で切っている。それも含めてチームにいい流れを持ってきたい」。最下位低迷の責任を、ずっと感じていた。

惨敗後、1学年上の江越に自身の投球について相談すると「最初の2試合は最少失点で抑えているし、考えすぎずに自分の持っているものを出せばいい」と励まされた。上沢は「全然内容が良くない」と納得しなかった。それでも「どんな形でも抑えられたら反省できるけど、抑えられなかったら反省できないよ」と諭され目が覚めた。内容にこだわる前に結果を出すことが先決。この日8回には、島内の右翼フェンス直撃の打球を処理した江越が好返球し二塁タッチアウトと、プレーでも勇気づけられた。

昨季3、4月は0勝4敗で、新庄監督も「上沢君は4月は調子良くないからね。その彼が4月に2勝。さらに期待したい」。泥臭くつかんだ春の2勝は好材料。勢いに乗って楽天に連勝し、5位浮上を狙う。

○…宮西が臨時クローザーとして今季初セーブを挙げた。2点リードの9回に登板。しっかりと試合を締めくくった。「昨年悔しい思いをして、もう1回、自分という存在をアピールできる場だと思った。気合はもちろん、入りました」。石川の代役守護神、田中正が3連投回避で登板予定がなかった試合で、完全復活を目指すベテラン左腕が求められた仕事を果たした。

▽日本ハム・マルティネス(6回に中前適時打)「得点圏に走者がいたので100%集中していきました。しっかりとコンタクトすることを心がけた」