DeNAトレバー・バウアー投手(32)が、来日2度目の登板で5回0/3を77球、2安打2三振2四死球1失点と好投した。バッテリーを組んだのは、高卒ドラフト1位ルーキーの松尾汐恩捕手(18)。驚きや発見があり、普通では味わえない、プライスレスな貴重な経験を積んだ。

試合前から配球パターンなどを相談していた。それでも、初めて組んだ20年のサイ・ヤング賞投手の投球に、実戦ならではの発見があった。「球の力であったり技術はそうなんですけど、投球術であったり、思っている以上に全ての球を意図を持って投げているなと思いました」。直球の最速は球団計測で154キロ、球場表示で149キロ。スライダーは打者の手前で、急激に、大きく曲がった。「やっぱりスライダーだったりはすごいなという印象は受けました」と衝撃を受けた。

1回はカットボールとスライダーで抑えきったが、2回1死、茂木から外角低めの新球スプリットチェンジで空振り三振を奪った。

「ブルペンでそんなに力入れて投げてなかったので、自分が一番ああいう球がきて驚いたというか、こんな球ないなと受けて感じました」。徐々にツーシームなどの割合を増やしていき、狙いを絞らせなかった。

サイン交換をする際、バウアーが首を振る場面が多かった。「試合前から『首振るのが多いと思うけど配球に対してではなくて、自分の間だったり、自分の中でやっていきたい』とおっしゃっていたのでそういった意味でも首を振っていたのかな」。バウアーも「元々首はたくさん振るので、今日もその通りだった。何を投げたらいいか迷う時もあるので、それも含めて首をよく振ります」と、コンビネーションに問題があったわけではないと説明した。

イニング間には意識してバウアーに声かけた。「思ったことは言ってくれと言っていたので」と意見をぶつけた。「こういったところを相手も少しずつ警戒しているので、こういう攻め方はどうですかと自分の中で案を出していた」。序盤は右打者に外角中心の攻めになっていた。「どこかでインコースを攻めていかないと合わせられてしまうと思った。攻め切るのを、よりやっていきましょうと言った」。次のイニングからは修正してくれたという。

メジャーでも超一流の成績を残し、全盛期から時間を置かずに来日した選手は少ない。高卒1年目から貴重な経験を積んだが「ひとつ自分のなかでもいい経験をさせていただいて、これを自分の中でもプラスにしていきたいなと思いました」と話した。暴投もあったが、これはサイン違い。経験を糧として、将来に生かしていくつもりだ。打撃では3打数1安打で右翼線への二塁打を打った。「ずっとピッチャーの球に慣れないことがオープン戦の中ではあったが、少しずつピッチャーの球に慣れていきながら自分のスイングができるようになってきている」と話した。【斎藤直樹】

◆バウアーの松尾評 「すごく良いコンビネーションでやれた。素晴らしい捕手だと今日の試合からも思いました。キャッチング、ブロッキング、相手のバッターの反応を見てのリード。そのへんも素晴らしかったですし、イニング間に話をしているが、その時も自分の伝えていることは、すぐに彼も理解してというか同じものを共有できているなと感じた。1つパスボール(記録は暴投)があったが、あれは自分が完全に悪い。サインだったりボールの場所だったり僕が悪かった。本当に素晴らしいリードをしてくれたと思っている」

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