9シーズンぶりの21安打、今季最多タイ15得点の圧勝。勝敗を分けたのは阪神大山悠輔内野手(28)の選球眼だった。4回、近本の同点打が飛び出し、なおも2死満塁で押し出し四球を選んだ。この勝ち越し点が最終的に決勝点となった。

1イニング10人攻撃の猛攻中でも、大山は落ち着いてボール球を見極めた。「あそこを我慢できたというのは自分にとってよかったのかな。いい意味で冷静になれましたし、自分の中で1番いい打席だったと思います」。試合を決定づける佐藤輝の満塁弾を呼び込んだ四球。これも4番の仕事だった。

6回の4打席目以降は打って貢献した。16打席ぶりの安打から今季3度目の猛打賞。計4打点でリーグ4位の21打点まで数字を積み上げた。4番の状態を気にかけていた岡田監督も「みんなにつられて1本出たら、あないして3本にまでなるんやもんなあ」と目を細めて胸をなで下ろした。

どんな試合も全力を尽くす信条だが、この日は母の日でもあった。昨年は本塁打を放ち、今年も好結果を残した。「自分の中で大切にしたい1日。ここまでやってこられたのは母親の存在のおかげだと思っているので、感謝しかないです。いつも試合を見てくれていて活躍するたびに報告をくれますし、ダメなときもいろいろ報告をくれる。自分の頑張っている姿をより多く見せて、これからも元気に過ごしてほしい」と感謝の言葉は尽きなかった。

大勝の試合後は「活躍、おめでとう」とねぎらいの言葉をかけられたという。野球で喜んでもらうだけにとどまらず「私生活、普段の生活から親孝行をしていきたい」。阪神の4番としても家族の一員としても、実直さは変わらなかった。【堀まどか】

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