相棒の色がピンクに変わろうと、勝負強さにブレはない。阪神近本光司外野手(28)の母の日仕様のバットで初回からHランプをともし続けた。

左に真ん中、真ん中に右…。コンタクトの角度を巧みに変えながら自身11度目、今季初の4安打だ。今季最多タイ15得点の仕掛け人となり、それでも「納得とかじゃなかったですね。自分のイメージの範ちゅうにあるだけ」と浮かれない姿勢が頼もしい。

先発西純が3点リードを逆転され、1点を追う4回。西純自らの安打でつながれた1死一、三塁、後輩右腕の思いを背負った。「打線がつながっていい形で回ってきた打席。(西)純矢も頑張っていたので、まずは追いつくことができてよかった」。138キロツーシームを丁寧にミートし、二遊間を抜く同点打。この回6得点の火付け役となった。

1番打者ながら「掃除役」が板についてきた。4回の同点打で3試合連続打点を記録。今季20打点目は佐藤輝、大山に次いでチーム3位、セ・リーグ6位タイの成績だ。得点圏打率は5割3分6厘でリーグトップ。この日は得点圏で3度打席を迎え、2安打を決めた。「(得点圏では狙い球が)多分、絞れる。それが5分の4なのか4分の3なのか分からないですけど。ランナーなしとか一塁と比べて絞りやすいのは結構ある。こういう風に攻めてくるんだろうな、と」。勝負強さの裏には緻密な読みも存在するようだ。

試合後のお立ち台では母や妻、女性ファンに向けて「いつもありがとう!」と叫んだ。感謝の4安打を放ち、DeNA3連戦は計14打数9安打。岡田監督も「(今日)何本目やって聞いとったよ。打て言うたらヒット打つんやから、しゃあないやんか、数えても。打つなとは言われへんし、なあ」とニンマリだ。リードオフマンの勢いが止まりそうにない。【波部俊之介】

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