阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)のプロ初サヨナラ打の裏に、先輩の好走塁があった。

「悠輔のスタートがよかったというのが一番。こっちも回す根拠ができた。あそこでスタートが遅れると止めざるをえないし、いいスタートを切ってくれたから思い切って回せました」

興奮冷めやらぬ試合後、三塁コーチャーを務める藤本内野守備走塁コーチが、大山悠輔内野手(28)の走塁をたたえた。

大山は9回2死走者なしで、右中間への二塁打で出塁。佐藤輝への申告敬遠で2死一、二塁となり、森下の左前打でホームに生還した。

2死なだけに、森下のバットがボールにインパクトした瞬間にスタートできる。快音が響いた瞬間、大山は迷いなく走りだした。

さらに、藤本コーチは「打球が速かったので、(左翼の)西川選手がちょっと大事にボールを捕りに行った分、そこで回そうと、捕球体勢を見て」と判断した。

代走は出なかった。それでも「悠輔も常に全力疾走してくれるし、常にかえるって気持ちを持ってくれてる子」と藤本コーチの信頼は厚かった。日頃から走塁に高い意識を置く主砲が、サヨナラ劇のもう1人のヒーローだ。