ソフトバンクが約2カ月ぶりに首位奪回だ。再開リーグ戦がオリックスとの首位攻防となった3連戦の初戦。中村晃外野手(33)が決勝打を含む3安打を放つなど、昨季から5連敗中だった苦手の山本を攻略。ゲーム差0ながら、4月21日以来のパ1位に返り咲いた。3連勝で貯金は今季最多の10。初戦を取った勢いで一気の首位固めを狙う。

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ホークス打線がようやく天敵を打ち崩した。「山本攻略」の一役を担ったのが中村晃だ。1点先制された直後の初回。先頭で左打席に立った。真ん中低めフォークを仕留めて技ありの左前打。昨季から5連敗中と苦しめられてきた右腕の出ばなをくじき、2死二塁から4番柳田の中前打で同点につなげた。「塁に出てチャンスを広げること」。1番打者としてシンプル思考で結果につなげた。

決勝打も中村晃だった。1-1の2回1死二、三塁。「チャンスだったので、初球から準備していこうと思っていた」。果敢にカーブを仕留め、右前に勝ち越し打を運んだ。続く牧原大は追加点の左前タイムリー二塁打、3番近藤は中犠飛とこの回だけで3得点。中村晃の一打を口火に、リーグ最多タイの6勝を挙げている右腕に集中砲火を浴びせ、2回までに今季ワースト失点となる4点を奪った。「大量点を取るのは難しい。取れるところはしっかりと取らないとね」と試合前から攻略法をイメージしていた藤本博史監督(59)も会心の笑顔。「野手陣が積極的になおかつ、追い込まれたら粘れる攻撃をしてくれた」とたたえた。

中村晃は4回にも右前打を放ち、今季5度目の猛打賞。昨季は山本に9打数1安打に抑えられたが、今季3度の対戦で7打数4安打。打率5割7分1厘と“由伸キラー”と化している。藤本監督は「晃は球数を投げさせるバッターなんですけど、積極的にスイングを入れてタイムリーになっている。こういう所が晃のいいところかなと思います」と目を細めた。

天敵を打ち崩し、大事なリーグ戦再開初戦、しかも首位攻防3連戦の頭を取った。チームは交流戦から3連勝で、貯金は今季最多の貯金10に到達。オリックスを5厘差で交わし、4月21日以来、63日ぶりの首位返り咲いた。指揮官は「試合数はまだまだたくさんある。一戦一戦を大事に、戦っていきたいなと思います」とかぶとの緒を締めた。【佐藤究】

○…2番牧原大が2安打1打点で貢献した。2回に中村晃の適時打で勝ち越し、なお1死一、三塁の場面。山本の151キロの真っすぐを左翼線に運ぶ技ありの適時二塁打を放った。「続くチャンスの場面で、気持ち1本でいきました。いい流れに乗ることができました」。7回にも左腕山田から左前打。打率を3割9厘に引き上げ好調キープだ。

○…柳田が難敵攻略の口火を切った。1点を追う初回2死二塁。フルカウントから山本のカーブを中前にはじき返す同点打を決めた。「打席で集中力を継続して発揮することができた結果がタイムリーにつながった」。2球で追い込まれたが、粘って10球目をとらえた。山本には昨年から10打席連続無安打だったが、価値ある一打で逆転勝ちに一役買った。

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