沖縄出身の西武平良海馬投手(23)が、十数年の成果を先輩に見せる。27日、日本ハム戦(那覇)に先発する。「やっぱり景色がきれいです。懐かしいですね。いろいろ思い出します」。梅雨明けした沖縄での里帰り登板には「かなり暑いので、そこらへんも気をつけたいです」と話した。

沖縄本島からさらに西へ400キロ少々の石垣島で生まれ育った。プロ入り前、那覇のある沖縄本島を訪れるとしたら、高校や中学の県大会の時くらい。「野球でしか来てないですね。飛行機に乗って来なきゃいけないですし、観光客レベルです」と笑う。

亜熱帯の島で駆け回り、大きくなった。その中でも野球教室での記憶は鮮明だ。野球少年にとって大事な出会いがあった。

「プロ野球選手になる1つの目安というか、プロになって自分も石垣島に何かをしたいなと思うきっかけになりました」

石垣島出身の先輩で、当時はロッテの右腕として活躍していた大嶺祐太氏(35)の指導を受けた。小学生時代に一度、中学生になってもう1度。

「プロとしての雰囲気や格好良さがあって。身長も高いですし。プロってすごい世界なんだと思わせてくれる存在でした」

大嶺氏は島内の八重山商工高で甲子園春夏連続出場を果たし、ソフトバンクとの競合の末06年高校生ドラフト1位でロッテに入った。大嶺氏の入団を機に、ロッテは春季キャンプ地を石垣島に移し、島の子どもたちとプロ野球選手との接点が格段に多くなった。

「大嶺祐太カップという大会もありました」と平良は懐かしむ。高校は同じ八重山商工に進み、同じようにプロ野球選手になった。リリーフで実績を残し、先発に転向した今季はすでに5勝を挙げていた。

グラウンドで再び、2人が巡り合う。昨季限りで現役引退した大嶺氏が27日、地元放送局で解説者デビューし、セルラースタジアム那覇を訪れる。ネット裏から見つめることになる大嶺氏も心待ちにする。

「すごく楽しみですね。中継ぎで頑張ってきて、先発転向するにあたって、準備もすごくしてきたと思います。平良君本人も、沖縄だからとか意識はしてないと思いますが、いつも通り投げている姿を見せるだけで県民の皆さんは喜ぶと思います」

憧れの人にも進化を見せる。暑い沖縄を熱くする。【金子真仁】

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