今夜はクレバウアー!! DeNAトレバー・バウアー投手(32)が、日米通じてキャリア最多となる128球の力投で今季2度目の完投。自身5連勝となる6勝目(2敗)を挙げ、チームの連敗を2で止めた。前回1日の中日戦では6回の守備時に激怒し、感情をあらわにする場面もあった。だが、この日は終始冷静。対戦を楽しみにしていたヤクルト村上宗隆内野手(23)も状況に応じたクレバーな配球で4打数無安打2三振と完全に封じ込めた。

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冷静と情熱を兼ね備えたバウアーの完投劇に、ハマスタが沸いた。バウアーがレガーズを着けて8回の打席に向かうと、3万1938人の大声援。終了時にはさらなる歓声が起きた。メジャー時代でも「最多で126か127球くらい」というキャリアハイの熱投に「最後まで投げ切れてよかった」と、うなずいた。

逆転した直後の6回。先頭山崎を四球で出すとギアが1段上がった。サンタナを外角低めスライダー、村上は3球勝負で低めナックルカーブ、オスナには高め156キロ直球で3者連続空振り三振に仕留めて大きく雄たけびを上げた。1点差に迫られた8回には、2死一塁で村上に2打席連続でナックルカーブで3球勝負。今度はバットすら振らせず見逃し三振に仕留め、ほえた。米国の名門UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で工学を専攻した「投げる科学者」。前回登板時とは違った雄たけびに「6回、8回はゲーム展開がどのボールを投げるかという選択をさせた。自分のベストなボールで勝負して、そういう結果になった」と冷静に振り返った。

精神面の波は、米国ドラマ「24」の主人公ジャック・バウアーばりに「24時間」で決着をつける。「(米国デビュー時は)悪い登板があると次の登板まで引きずっていい影響はなかった。どうしたらいいか考えた時に『まあいいや、もう気にしない』とはすぐにはできず、トライアンドエラーを繰り返した結果、24時間に落ち着いた」。1日だけ落ち込んで切り替え、前回から立て直した。

恒例となった本拠地お立ち台では「ユメカナウマデ、チョウセン!!」と、高校球界の名将、済美(愛媛)上甲正典元監督の名言をさけんだ。米国で最高峰の実績を積んでも、日本でチームメートから日本語を学ぶなど、常に向上心も持つ。

登板翌日、7月7日は「七夕」。もしも願いがかなうなら? 「これは人に言ってもいいのかと思ったけど、今は『ベイスターズの優勝』にしたいと思います」とクレバーな回答にニヤリ。サイ・ヤング賞右腕と、25年ぶりの頂点を願うファンの思いが、横浜の夜空に重なった。【鈴木正章】

▽DeNA三浦監督(バウアーの投球に)「今日はバウアーに任せたと。絶対間違えてはいけないところで絶対間違えない。神経を研ぎ澄ませて投げていた」

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