劣勢ムードをはね返したのは阪神大山悠輔内野手(28)の一振りだった。

DeNA先発バウアーの前に序盤、打線は沈黙した。3回まではパーフェクト投球を許して無得点。2点を先制され、劣勢ムードが漂う4回だった。2番中野がチーム初安打を放つなど、1死一、二塁で初のチャンス。カウント0-2から、151キロ高め直球を逃さず逆方向へはじき返した。

「みんなでつないだチャンスだったので、なんとかランナーをかえすことができてよかった」

一、二塁間を破る右前適時打。攻略のきっかけを作り、打線に勢いをつけた。

20年サイ・ヤング賞を獲得した右腕とは今季2度目の対戦だった。前回6月25日には敵地で5回、一時は1点差に迫る中前適時打。これで対戦した2試合連続でのタイムリーだ。

「前回やられていますし、バウアーが全てではないですけど。勝てたというのはすごく大きい。チーム全員が1つになれた結果だと思います」

前回対戦時は、適時打を放ちながらも3-5で敗戦。同カード3連敗となり、首位を明け渡した一戦だった。この日は8回裏に2点差を追いつき、9回裏にサヨナラ劇。何よりチームの勝利を喜んだ。

前日11日から1ゲーム差で始まった首位攻防3連戦はこれで2連勝。狙うは一気の3連勝に他ならない。

「まだ順位とかではないので。まだまだ先はありますし、目の前の試合でどう勝つかというところなので。1試合1試合、頑張りたい」

5日広島戦から6試合連続安打と好調の4番。試合後は当たり前のように気を引き締め直し、次戦を見据えた。【波部俊之介】

■一時同点の適時内野安打

阪神ノイジーが一時同点とする適時内野安打を放った。1点差に迫った4回1死満塁。2ストライクからバウアーの133キロ変化球をとらえ、中堅方向へはじき返した。二塁手牧がダイビング捕球したが、送球できず走者生還。「牧選手がいつもダイビングキャッチで自分の打球を捕ろうとする。抜けなかったですけど、ヒットになって良かった」。1日敵地巨人戦以来、8試合30打席ぶりの適時打。9回の先頭では四球も選び、サヨナラ機を演出した。