日本ハム万波中正外野手(23)が“マジカル適時打”で、勝利を呼び込んだ。1点を追う5回2死一、二塁、バットの先で捉えたボテボテの打球が、一、二塁間をするすると通り抜ける不思議な右前打で同点。7回2死二塁では、きれいに二遊間を抜くこの日2本目の適時打を放つなど、今季8度目の3安打猛打賞(4安打1回含む)で、3連勝に貢献した。

   ◇   ◇   ◇

万波の強靱(きょうじん)なパワーが、想定外の“秘打”を生み出した。5回2死一、二塁、西野の外角スライダーをフルスイングしたが、うまく捉えきれなかった。「奇跡ですね。先っぽに当たりました。1回こっちにいって反対側に転がるような感じで。解説できないぐらいバッティングとしてはひどいんすけど。結果が全てということでは良かったです」。打球は正直、遅かったが、強烈なスピンがかかり、一塁手の山口と二塁手中村奨の間をうねるようにすり抜け、同点打になった。

奇跡の予兆はあった。4回先頭で迎えた第2打席は西野のシュートを、こちらもうまく捉えられず、一塁手の山口の頭上にふわりと上がった。打球の下に入られたが、照明が目に入ったのか、屋根を開けたことによる風の影響か、キャッチできなかった。この日最初のヒットになり「なんかいいことしたんですかね。思いつかないですけど」と苦笑いするしかなかった。

独特の脱力感と日々の結果に一喜一憂しない姿勢が、泥くさいヒットを生み出した。12日のソフトバンク戦は2打席連発含む2安打3打点も、13日は一転して3打数無安打に終わった。「ノーヒットの日もあるかなあくらいで。それで気持ちが沈むこともなく。良いか悪いか、分からないですけど」。運を引き寄せるために意識して行動することもない。「占いはまったく見ないですね。いつも肩の力抜いて生活しています」。特別なことをしない無意識の“取り組み”が、思わぬ幸運を引き寄せた。

「意識してゴミを拾うこともないですけど、今日ちょっと(運を)使い切っちゃった感あるんで、また善行ポイントためたいですね」。嫌みなくジョークを飛ばせる不思議な陽気さが、次のミラクルへの布石になる。【永野高輔】

【関連記事】日本ハムニュース一覧>>