オリックス山本由伸投手(25)が、昨年6月18日西武戦以来、自身2度目のノーヒットノーランを達成した。

プロ野球史上通算100度目で達成者は通算88人。2年連続の達成は戦後では初めての偉業となった。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGM(56)が異例の視察に訪れるなど、大リーグの12球団20人以上のスカウトらが集結。オフにポスティングシステムを利用して米球界挑戦の可能性がある右腕が、歴史的な投球で評価を高めた。チームは2位ロッテとの直接対決に勝利して優勝マジック12となった。

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ともに27個のアウトを積み上げた仲間たちが駆け寄ると、山本はりりしい表情を緩めた。降り注ぐウオーターシャワーの祝福に、両手を上げて喜んだ。

「ほっとした気持ちと、うれしい気持ちと。そんな感じでした」

わずか15球で2回を封じると、軽やかにグラブをポンっとたたいた。無双を感じさせる姿に、周囲が興奮気味。「結構、早い段階から騒がしかったです。『もう気にすんなよ』と。その声かけが一番気にしちゃってという感じでした」。4回にロッカーへ戻れば、杉本から「お前完全試合意識すんなよ」と早くも声をかけられた。

「(杉本は)1人ホームラン打って気持ち良くなっていたんで。はい。そのせいで多分、四球が出ちゃいました」。6回先頭の安田に初めて出塁を許した後は、内野陣が集結。「なんかみんなが、いらんことばっかり言ったんで(笑い)」。マウンドで思わず笑うほど、自然体で成し遂げた2年連続の偉業。1リーグ時代の沢村栄治、亀田忠以来82年ぶり3人目と、歴史に名を刻んだ。

今年から左足を上げない新フォームに着手。序盤に結果がついてこないと、外野からは否定的な声も聞こえた。「しっかり練習もたくさんできていますし、高みを目指して練習するというのは、いつもブレずにやれている。それがたまたまいい方向に行っている」。惑わされず貫いた信念が、102球に表れた。

この日はエンゼルスやドジャースら、大リーグの12球団20人以上のスカウトらが大集結。特にヤンキースは、キャッシュマンGMが自ら最前列で見守った。大リーグ球団関係者は「キャッシュマンGMが来るのは珍しい」と説明。田中将大や大谷翔平ら、限られた逸材にしか足を運んでこなかった名門球団トップの動きが、山本への関心の高さを象徴していると明かした。伝え聞いた山本は「注目していただけることはすごくうれしい。もっともっと頑張って、良いボールを投げられるようにしたい」とさらなる進化を誓った。

勝利数、勝率、防御率に続き、8奪三振で三振数もついにリーグトップ。3年連続の4冠も見えてきた。マジック「12」と近づく3連覇とともに、前人未到の道を歩むエースへ熱い視線は止まらない。【磯綾乃】

▽オリックス中嶋監督(山本のノーヒットノーランでの快勝に)「ナイスゲーム、以上! よく打ったというか、点数取ったし。大事なゲームってわかってて、そこをみんなで勝てたというのは大きい。やっぱり山本由伸、さすがです。以上でございます!」

▽オリックス若月(2年連続で快挙時にマスク)「最近ずっと試合行く直前に『完全試合しましょう』って毎回言うので。チームも連敗していた中で、やっぱりさすがだなというのがまず一番に思う。やっぱり、いいっすね、気持ちいいっす」

▽オリックス山足(一塁手で27個目のアウトの球を受け)「吐きそうでした。最後の最後まで緊張しましたし、こんな瞬間に立ちあえて、本当に良かったです」