夢の関西ダービー実現だ! 阪神岡田彰布監督(65)が静かに闘志を燃やした。かつて選手、監督として在籍した古巣オリックスが、パ・リーグ3連覇を達成。互いにリーグ王者としてクライマックスシリーズ(CS)を勝ち上がれば、59年ぶりに関西球団同士の日本シリーズが現実になる。チームは球団シーズン最多の巨人戦18勝目を記録。勢いそのままに歓喜のポストシーズンに突き進む。

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8回2死からの鮮やかな逆転劇だった。1点を追う中、4番大山が四球を選び、佐藤輝がバットを折りながらも右翼への二塁打で2死二、三塁。6番ノイジーが中前へしぶとくはじき返す逆転2点適時打でひっくり返した。指揮官も「最後、中川と大勢が来るんかなと思ったんがねえ。でも、2死からよくつないだ」と、予想外の巨人の継投を攻略した。

守護神岩崎が締めリーグ単独トップの33セーブで、球団新記録となる今季対巨人18勝目となった。「そんな星勘定はしてないからなあ。全然知らんかったよ」と、宿敵相手の新記録を知り白い歯がこぼれた。第1次政権時も対戦していた原監督を相手に圧勝した。「まあ、負けるよりは勝った方がええわ」。21日の対巨人最終戦にも勝ってさらに記録更新といきたい。

ほぼ同時刻。甲子園から約15キロ離れた京セラドーム大阪でオリックスがパ・リーグ3連覇を決めた。選手として最後に2年間プレーし、10年から3年間監督として指揮を執った古巣との1位同士の関西ダービーの日本シリーズ実現に、ファンの期待は高まる。岡田監督は「いやいや、まだ、クライマックスまで1カ月あるんで、まだそれは全然考えてない。まだ先や」と話すが、もちろん頭には浮かんでいるはずだ。

18日DeNA戦(甲子園)の試合後には「オリックスなんか(10月)9日まで(公式戦が)あるやん。なあ、歯抜けみたいに間空いてなあ」と、話した。同じ1位でも阪神は10月1日広島戦で終了するため、試合感覚を保つのが難しい。そこを比べての発言だった。宿敵巨人を圧倒し、さらに夢の関西ダービー実現へ。まずは日本シリーズ行きへすべてをかける。【石橋隆雄】

▼阪神が巨人戦で今季18勝目を挙げ、このカードでの最多記録を更新した。過去は17勝で、79年、03年、04年の3度あった。なお、今季巨人戦25回戦に敗れても、最終対戦成績は18勝6敗1分けで貯金12。過去最多79年の貯金8(17勝9敗)を大きく上回り、最多となることが決まっている。

■64年阪神VS南海日本シリーズ

阪神に続いてオリックスもVで、関西2球団が覇者となった。64年のセ阪神、パ南海(現ソフトバンク)以来、59年ぶり2度目だ。64年の阪神は、外国人投手バッキーが29勝の活躍。一方の南海は、広瀬叔功が6月末まで打率4割を超え、打線を引っ張った。阪神は9月30日に甲子園の中日戦で優勝を決めたが、南海は試合のなかった9月19日にVが決定。このため、史上初めて関西のセ・パ球団がともに本拠地で胴上げとなった。シリーズでは、南海が4勝3敗で日本一に輝いた。両球団の本拠地、甲子園と京セラドーム大阪は、阪神なんば線で行き来できる。ともにCSを突破し「なんば線シリーズ」実現はなるか。