阪神が今季ラストの「伝統の一戦」の最終回に意地を見せた。5点ビハインドの9回、巨人大勢からヨハン・ミエセス外野手(28)が代打5号ソロ。佐藤輝明内野手(24)が21号2ランで2点差にまで迫った。勝利とはならなかったが、ゼロ封負け目前の連弾で虎党を喜ばせた。佐藤輝はキャリアハイの85打点に到達した。

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ひょっとしたら…。5点ビハインドの9回でも、そんな空気にさせるのが今季の阪神だ。ミエセスが代打ソロ。そして無死一塁から佐藤輝がかっ飛ばした。大勢の低め142キロをすくい上げ右翼ポール際へ。スタンド最前列に飛び込む1発に、甲子園は劣勢を感じさせない狂喜乱舞だ。

「いや~ギリギリっすね。危なかったっす」とホッとしたような表情を見せた。優勝を決めた14日の巨人戦以来となる6試合ぶりの21号2ラン。2点差まで追い上げる意地を見せ、最後まで虎党を沸かせた。1学年下で同じ兵庫県出身の右腕を捉え「もちろんいいピッチャーなんで、うれしいです」とうなずいた。

今季85打点に達した。昨季の84打点を上回るキャリアハイの成績に「まだ残りがあるんで、積み上げられるように頑張ります」。DeNA牧、巨人岡本和に次ぐリーグ3位の数字も、大器には通過点に過ぎない。85年以来、36年ぶりとなる日本一を目指す岡田阪神のポイントゲッターとして、突き進むだけだ。

月間22打点は23年5月に並ぶ自己最多。9月は打率3割6分9厘、6本塁打と打ちまくる。勢いを保ってレギュラーシーズンをフィニッシュし、ポストシーズンへはずみをつける。

これで今季レギュラシーズンでの巨人戦が終了。前日20日に勝利し球団最多記録となる巨人戦シーズン18勝を手にしたが、記録更新とはならなかった。とはいえ、ライバルに圧倒的な強さを見せつけた23年。岡田監督は「こんな勝ってるとは思わんかったけどなあ」。さらに「まあお得意さん作るっていうかなあ。どっかに負け越してるチームは出るもんやけどなあ。みんなに勝ち越したというのは、そっちの方が大きいよな」と、セ全球団に勝ち越しを決めた完全制覇の1年を振り返った。負けてもなお底力を見せつけ、猛虎はシーズン最終盤を進む。【中野椋】

 

▼阪神は今季の巨人戦を18勝6敗1分けで終了した。このカードの年間18勝、貯金12はいずれも球団最多。なお球界全体の巨人戦でのシーズン最多勝利は、97年ヤクルトの19勝(8敗)。阪神はわずかに及ばなかった。

▼阪神の満塁本塁打被弾は、22年8月24日京セラドーム大阪のDeNA戦で、桑原から伊藤将が打たれて以来。巨人戦では、22年4月3日に東京ドームで中田にガンケルが喫して以来。甲子園の巨人戦に限ると、07年9月19日ゴンザレスにボーグルソンが打たれて以来。なお甲子園で巨人の日本人選手に打たれたのは、91年4月10日に篠塚利夫(後に和典)に渡辺伸彦が許して以来、33年ぶりとなった。

▽阪神馬場(9回に登板しすべて落ちる球で3者連続空振り三振)「力感なくしっかり投げたんで、感触はよかった。今日みたいにリズムよく投げたい」

【動画】甲子園揺れた!阪神佐藤輝明が意地の9回21号2ラン 大勢は茫然、原監督マウンドへ