巨人原辰徳監督(65)が今季ラストマッチを勝利で飾り、最終戦セレモニーで今季限りで退任することを明かした。

自らマイクを握り「奪回という目標の中、懸命に戦ってまいりました。道のりは険しいものでした。監督であり私の指導不足、私の責任である。本当に申し訳ありませんでした。辞任します。若い新しいリーダー、阿部慎之助君にチームを託そうと、そういう決断をしました」と語った。3年契約2年目の今季、71勝70敗1分け、3年ぶりの勝ち越しを収めた。一方で2年連続Bクラスに陥り、契約を1年残して退く。今後は「オーナー付特別顧問」となって巨人の伝統を伝えていく。

第3次政権にわたり在任通算17年で、1291勝1025敗91分け。選手15年、コーチ3年、監督17年。球団史上最多勝利数だけでなく、35年間に及び球団史に、その名を刻んできた。来季は阿部慎之助ヘッド兼バッテリーコーチ(44)にバトンタッチ。次なる世代にジャイアンツを託す。

◆原監督の最終戦セレモニーでのあいさつ全文

2023年、10月4日、全日程が終了しました。ちょっと早すぎます。規制もなくなり、たくさんのファンの方にグラウンドに足を運んでいただき、大声で声援、歓声、たくさんいただきました。1年間、本当にありがとうございます。

あらためて、ファンあってのプロ野球、ファンあってのジャイアンツ、本当にそう思いました。本当にありがとうございます。チームは昨年度、Bクラス、「奪回」という目標の中、懸命に戦ってまいりました。先ほどのビデオを見ていると優勝しているかのようなゲームが多い。しかし、道のりは険しいものでした。選手、コーチ、スタッフ、全力で戦い、1つになり、戦いました。しかし力及ばず、成績、みなさんの前で誇れるものはなく、期待に応えることができませんでした。これがひとえに監督である、私の責任です。本当に申し訳ありませんでした。とはいえ、ここにいる選手たち、来年も戦ってくれる選手がたくさんいます。ユニホームに悔しさを刻んで戦い抜きます。今年と変わらない、温かい声援をよろしくお願いします。

これから個人的な話をさせていただきます。

22歳、巨人に入団しました。選手15年、コーチ3年、監督17年。35年、戦い抜きました。現在、65歳。その時々のオーナー、正力さん、渡辺さん、そして現オーナーの山口さん、育てていただき、託していただき、感謝しています。しかし、勝負の世界が厳しいということは当然理解しております。

17年監督をやり、父の教え、最後まで生きたことがあります。考え事、悩み事、心配事。監督になれば増えると。ただし、床に頭をつけたら寝るんだと。どうしても考えたい。そういう時は部屋に電気をつけて椅子に座って考えろと。最後の最後までこの教えは教訓とし、エネルギーとしました。朝はいつも希望に満ちて、よし、今日はやるぞと目覚めた。これがあったからだと思います。球場に来れば勝利、勝つことを考え、最善策とはなんぞや、全力で1日1日、1試合1試合、戦って参りました。このような成績に終わり、山口オーナーとしっかり話しました。

Bクラス確定の夜に、2つの約束をしました。1つは、辞任します。もう1つは若い新しいリーダー、阿部慎之助くんに、チームを託そうと。そういう決断をしました。本当に、ジャイアンツファンの皆さま、そしてベイスターズファンの皆さまも残っていらっしゃいます。野球ファンの皆さま、本当にお世話になりまして、ありがとうございました。

私の心境は1点の曇りもございません。晴れ晴れとした気持ちでバトンを阿部に渡し、マイクも渡します。本当にありがとうございました。

▽巨人阿部ヘッド兼バッテリーコーチ(セレモニーで原監督から託され、あいさつで)「まず、ごあいさつさせていただく前に、今年度巨人軍は優勝争いすることも出来ず、ファンの皆さまに大変申し訳なく思ってます。申し訳ございませんでした。大役を受け継ぐことになり、とてつもない重圧を感じ、身の引き締まるところでございます。とにかくファンの皆さんのために強い巨人軍、愛される巨人軍を作るべくチーム一丸となって戦っていく所存です」

▽巨人菅野(選手会長としてセレモニーでスピーチ)「チームとしては本当に悔しい、ある意味忘れられないシーズンとなりました。来季はこの悔しさを力に変え、チーム一丸となり、優勝目指して頑張っていきますので、変わらぬご声援よろしくお願いします」

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