逆転キングならず-。日本ハム万波中正外野手(23)の“本塁打王チャレンジ”が、終わった。5日楽天戦で5打数1安打0本塁打に終わり、今季全日程を終了。本塁打数リーグ2位で並んでいた楽天の浅村栄斗内野手(32)が、目の前でトップに並ぶ26号を放ち、20年本塁打王に経験値の違いを見せつけられた。チームは3-5と逆転負けで、60勝82敗1分けでシーズンを終えた。

  ◇  ◇  ◇

最後の最後まで本塁打王を目指した万波の戦いは、小雨がパラつく仙台で終わった。21試合連続で1番に座っていたが、新庄監督の「球筋を見させたかった」の親心で2番に入ったものの、不発。まだ試合を残す楽天浅村、ロッテ・ポランコのトップに1本差の25本塁打で高卒5年目のシーズンが終了した。

タイトルには手が届かなかったが、試合後は「爽やかですよ、僕は。スッキリしました」と満面の笑みで「チームメートに迷惑をかけながら挑戦させてもらったので、申し訳なさと感謝と。最後までケガせずホームラン王に挑めた。気持ちとしては、やりきれたと思います」。悔しさを笑顔で隠して、胸を張った。

1発が出ないまま迎えた、4回の守備だ。同じく25本塁打で並んでいた楽天のベテラン浅村が、万波の目の前でリーグトップに並ぶ26号ソロを左中間へ運んで見せた。かつて本塁打王1度、打点王2度と、打撃部門の主要タイトルを手にしたベテランの底力に「すげえと思って」、右翼を守りながら笑ってしまった。「実力かなと。他の成績を見ても浅村さんに勝てる成績はないので、シンプルに確率の問題。技術の差、実力の差だと思う」と自身の現在地を見つめた。

周囲の期待も高く、精神的な負担もあった。「他の人たちと比べて、まだ実力もない分、大変だった。もうしたくねえなって思いますね」と笑い飛ばす一方で「2位に大差をつけてタイトルを取れるような、そういう選手になりたい。突き抜けられるように。ぶっちぎれるように頑張ります」。「来年は30本」という新庄監督の注文には「いや、40本打つつもりです」と自らハードルを上げた23歳。圧倒的な本塁打王を夢見て、新たな挑戦が始まる。【中島宙恵】

【関連記事】日本ハムニュース一覧>>