発熱による体調不良で離脱していたロッテ佐々木朗希投手(21)が3回完全投球で復帰戦を飾り、チームに勢いをつけた。CSファーストステージ初戦のソフトバンク戦に先発。27日ぶりの実戦でイニング限定だったが、160キロ超の直球とフォークを中心に打者9人から4奪三振で、2年ぶりの“開幕投手”の重責を果たした。打線も荻野貴司外野手(37)の先頭打者弾など9安打8得点で援護。2万9126人の大歓声にも背中を押され、オリックスとのCSファイナルステージ進出に王手をかけた。

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「うおおおぉ~~~」。佐々木朗が、初球から大観衆をどよめかせた。体調不良明け、ぶっつけ本番、27日ぶりの復帰登板。しかもCS初戦の大一番。吉井監督から託されたのは、3回まで。現状で出来ることを-。「2日前のブルペンでの感覚が本当に良くなかったのですが、それでも監督が『行ってくれ』と。結果は監督のせいにして、自分のベストを尽くすだけかと思って投げました」。信じてはいるが、固唾(かたず)をのんでマウンドを凝視するファンを、初回の1球で安心させた。

先頭のソフトバンク周東に161キロ直球。セーフティーバントの投手ライナーを反射神経良く、難なくキャッチした。パ・リーグ史上最年少20歳0カ月でCS開幕投手を務めた21年11月6日の楽天戦ではなかったCS初の160キロ超えだ。花火などの球場演出。声出し解禁の中での初CSも力に。「1カ月くらい間が空いたので、もちろん不安もありましたけれど、ファンの勝つぞという雰囲気がすごかったので、それに引っ張られる形で気持ちも入った」。初回からイニングをまたいで柳田、近藤を連続空振り三振。3回にも今宮、柳町を連続空振り三振。この日最速162キロの直球だけでなく、フォークも低めに。「どうにか0点で後ろにつなぐことが出来て良かった」。4月6日以来の“完全試合バッテリー”となった松川とグータッチ。ベンチでは吉井監督から尻をポン、ポンッ、ポンッと3度たたいて感謝された。

WBCでの世界一後、チーム合流初日に「マリーンズでもシャンパンファイトやりましょう」と円陣の中心で仲間に誓った今シーズン。オールスター後は左脇腹肉離れの離脱もあって0勝に終わった悔しさは、ポストシーズンで晴らす。「僕が毎日出るわけではないので、勝ってくれると信じて、自分の出番が来たら良いピッチングを出来るように頑張ります」。日本一に向けて、「令和の怪物」が次の標的を定めた。【鎌田直秀】

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