プロ志望届を提出している最速151キロ右腕、立命大の谷脇弘起投手(4年=那賀)がノーヒットノーランを達成した。同リーグでは17年秋の関大・山本隆広が完全試合を記録して以来32度目。

仲間に胴上げされた右腕は、うれし涙を流した。人生初の快挙に「(大学4年間)うまくいかないことの方が多かった。今までにないくらい準備して、やっとここでという感じ。大学で一番の投球です」と胸を張った。

小雨が降り注ぐ中、最速148キロを計測した直球を軸に8奪三振。2四死球を与えたが、終盤まで球威は落ちなかった。最後は見逃し三振を奪い、雄たけびを上げた。「7回ぐらいから意識しました。1イニング1イニングとばした結果です」。満面の笑みで快投を振り返った。

前回先発した14日の近大戦では、2回途中4失点で降板。第4節の関大戦でめくれた右手中指のケアをしながら最終節に向け、「投げることをやめない」と自らに課した。実戦感覚をつけるため、練習ではシート打撃に積極的に登板。エースは中5日で完全に立て直してきた。

ライバルとの投げ合いにも刺激された。同大の先発は同じドラフト候補右腕の真野凜風投手(4年=天理)。「(真野は)評価が一緒ぐらいのところでやってきた。この1戦でどっちが上か決めようと、意識しました」。伝統の「立同戦」で投げ勝った。

運命のドラフト会議が6日後に迫る中、大学最終登板の可能性がある一戦で猛アピール。「野球人生に1回あるかないかの経験をできたのは大きい。いいアピールになったと思います」。プロの夢を追い続ける右腕の、努力が報われた一戦となった。【村松万里子】

 

◆谷脇弘起(たにわき・こうき)2001年(平13)11月25日生まれ、和歌山市出身。宮小2年から宮セネタースで野球を始め、日進中では和歌山ビクトリーズに所属。那賀高では1年夏に背番号20でベンチ入りし、2年秋から背番号1。3年夏は和歌山大会準優勝。立命大では2年春からリーグ戦に登板。最速151キロ。50メートル走6秒5、遠投115メートル。185センチ、85キロ。右投げ左打ち。両親と姉。目標とする選手はオリックス山本由伸。