阪神森下翔太外野手(23)が「再教育」翌日に勝負どころで結果を出した。

3点ビハインドの7回2死二、三塁。カウント0-1からオリックス山岡の外角縦スライダーにタイミングを合わせ、逆方向に飛ばした。痛烈な打球は右前2点適時打。日本シリーズ初打点を記録し、甲子園のボルテージも最高潮だった。

「絶対、つなごうっていう思いだった。変化球がいい投手なので、しっかりゾーンを上げて準備した。抜けた瞬間、チカさん(近本)なんとかかえってくれ!と思って走りました」

1点差に迫る一打を決め、一塁上で力強くガッツポーズ。日本シリーズ初アイブラックで臨んだ試合で、闘志をむき出しにした。球団では、新人の日本シリーズでの打点は、85年嶋田宗彦(現バッテリーコーチ)の西武第3戦の本塁打以来、38年ぶり。「自分の成績としては、打点をとることができてよかった」と胸をなで下ろした。

岡田監督の「我慢」に応えた。10月28日の日本シリーズ第1戦では、チームは白星も5打数1安打3三振。2戦目でも無安打となり、指揮官も「結局、森下がず~っとキーになっているからな」と口にしていた。

チーム打撃がおろそかになっていたこともあって、前日10月30日の全体練習では「親が子どもに教育してるのと一緒や。最初は野球を教えたらな、あかんのよな」と打撃コーチを通じて打席での考え方など、「再教育」することを明かしていた。この日もスタメンから外さずに「3番右翼」で起用。チャンスで期待に応えた。

岡田監督も「いい感じって戻ったんやろ。ボール球を振らへんかったらちゃんと打てる」と納得だ。初のマルチ安打を放った背番号1。「チームが負けてしまったので、また切り替えていかないといけない」。18年ぶりリーグ優勝に貢献したルーキーが、日本一へ向け、さらにギアを上げる。【三宅ひとみ】

▼森下が7回に2点適時打。日本シリーズで打点を挙げた阪神の新人は、62年東映戦での藤井栄治5打点、そして85年西武<3>戦での嶋田宗彦ソロ本塁打による1打点以来、38年ぶり3人目。

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