虎のドラ1ルーキーが、38年ぶりの日本一に貢献した。阪神森下翔太外野手(23)が、新人の日本シリーズ歴代最多打点となる通算7打点をマーク。3点リードの5回2死一、三塁から左翼線に適時二塁打を放って貴重な4点目を挙げると、9回にも中前適時打。3安打2打点の活躍で、歓喜の輪に飛び込んだ。

    ◇    ◇    ◇

森下が新人のシリーズ歴代最多打点新記録の7打点で「日本一」に貢献した。3点リードの5回2死一、三塁。左翼への適時二塁打で、新人では巨人原辰徳らに並ぶ史上5人目のシリーズ最多6打点。さらに6点リードの9回1死二塁で、東の外角152キロ直球をとらえ、中前にダメ押し適時打。猛打賞で記録を塗り替えた。

「呼吸するのを忘れるような息をのむような試合ばかりで、体的にも精神的にもだいぶきつかったけど、最後はこうやって報われた。本当に日本一を取れてうれしいです」

第5戦の8回、千金の逆転打で日本一王手に導いた。でも1人でここまでの活躍ができたとは思っていない。9月29日DeNA戦。1点ビハインドの5回無死満塁でワンバウンドしたチェンジアップに空振り三振し、ベンチで大粒の涙をこぼした。真っ先に声をかけたのは佐藤輝だった。

「切り替えて。そんな打てない時もあるから。気にしないでいい」

その言葉で引きずることなく、次に向かうことができた。佐藤輝はドラ1の後輩を以前から「全部全力で、頑張り屋さんなので」と気にかけていた。森下は翌日の広島戦は代打で安打。「自分の姿を見て慰めてもらった。ああいうときに声をかけられて本当に気が楽になった。ありがたかったですね」と感謝は尽きない。

シリーズのMVPは近本に譲ったが、3番打者として負けない活躍で日本一に貢献した。「この1年間、先輩方のおかげでやりやすい環境で野球ができた。指導者も含め、環境に恵まれていると本当に感じました」。そしてガラガラにかれた声で言った。「まだまだここからからしたい」。人生最高の日を最強の仲間と飲み明かす。【三宅ひとみ】

▼ルーキー森下が適時安打2本を含む3安打を放ち、今シリーズ両チーム最多の7打点。シリーズで新人の7打点は62年岩下(東映)81年原(巨人)82年上川(中日)10年清田(ロッテ)の6打点を抜く新記録。新人のシリーズ打点王は62年岩下、81年原に次いで3人目だ。また、新人の猛打賞は88年<5>戦音(中日)以来7人目となり、阪神の新人では62年<2>戦藤井に次いで2人目。

◆森下翔太(もりした・しょうた)2000年(平12)8月14日生まれ、横浜市出身。東海大相模では1年夏からベンチ入り。甲子園は3年春4強。高校通算57本塁打。中大ではDeNA牧の2学年後輩になり、1、4年時に大学日本代表に選ばれた。22年ドラフト1位で阪神入団。182センチ、90キロ。右投げ右打ち、今季推定年俸1600万円。