若き大砲候補が、新井打法でアーチを描いた。今キャンプ5度目の紅白戦。1回1死満塁から「白軍5番」の内田湘大内野手(19)が紅軍先発玉村の内角直球を振り抜き、天福球場の左翼席に運んだ。

「感触は良かった。ホームランという結果は良かったですけど、しっかり意識できたことが一番良かったと思います」

試合前の打撃練習後、新井監督から受けた助言を実践した。“構えたときに顔をホームベース側に倒すのではなく、姿勢を正して左肩の上に乗せるように構える”。現役時代の新井監督のフォームと重なる形だ。「(顔の角度が)倒れてしまっていると、内角に来たときに刺されてしまうので、うまく意識できて、いい反応ができたのかなと思います」。自身の現役時代と重ねた監督の言葉は、内田の中にスッと入ってきた。

昨年ドラフト2位で利根商から入団した内田は1年目の今季、公式戦で本塁打ゼロに終わった。フェニックスリーグで初本塁打を記録し、この日は豪快な満塁弾と徐々に才能が目覚めつつある。「言われた顔の角度、それだけを意識したら、バットもいい角度で出てきてくれて、いい角度で上がってくれた」。吸収力の高さは成長を促進させる。

新井監督は「2打席目のレフトフライも捉え方は良かった。打席での見送り方、ファウルの仕方が良くなったなと感じた」と結果に表れなかった打撃も評価する。秋季キャンプは17日から最終クール。「来年、春(キャンプで)1軍に呼ばれるように、アピールしていきたい」と若き大砲候補は最後までフルスイングで駆け抜ける。【前原淳】

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