阪神村上頌樹投手(25)が初のセ・リーグMVPに輝いた。都内で行われたNPBアワード内で発表された。

新人王とのダブル受賞は80年木田勇(日本ハム)、90年野茂英雄(近鉄)以来の3人目で、セ・リーグでは初の快挙。前年まで未勝利投手のMVPは、新人以外ではプロ野球史上初の快挙となった。「まさか自分がとると思ってなかった。とても光栄な賞なので嬉しいです。(ダブル受賞はセ・リーグで)初めてってことで、そこに名を刻めたのはよかったなと思います」。

阪神の選手がMVPを受賞するのは7人、8度目で、投手では4人、5度目。44、47年若林忠志、49年藤村富美男、62年村山実、85年バース、03年井川慶、05年金本知憲に続く選出だ。名だたるレジェンドの中に、フレッシュな右腕が加わった。

今季初先発した4月12日の巨人戦(東京ドーム)では7回完全投球をみせ、日本中にその名を知らしめた。その後、先発ローテーションに定着。切れ味鋭い直球と抜群の制球力を武器に22試合に登板し、10勝6敗と躍動。防御率1・75で最優秀防御率賞のタイトルを獲得した。

新生岡田阪神の新戦力して1年間存在感を発揮し続け、18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に大きく貢献した。

今季の推定年俸は750万円。史上最大級ともいえる「下克上」で、笑顔を輝かせた。

すでに来季へ目を向けている。「タイトルは一番目標にしてる防御率があるので、2年連続をとれるようにやったいきたい。今年以上の成績を求めてやっていきたいし、10勝以上と防御率ももっと下げていきたいなと思います」。もっと上を目指し、栄誉を飛躍の足がかりにする。

 

◆村上頌樹(むらかみ・しょうき)1998年(平10)6月25日生まれ、兵庫・南あわじ市出身。智弁学園では岡本和(現巨人)の2学年下。3年春の甲子園では高松商との決勝で延長11回、自らサヨナラ打を放って優勝。東洋大を経て、20年ドラフト5位で阪神入団。21年5月30日西武戦で1軍デビュー。昨季は1軍登板がなかった。2軍では21年に最多勝、最優秀防御率、勝率1位の3冠。昨季も最優秀防御率、勝率1位。175センチ、80キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸750万円。

 

【阪神村上の23年の歩み】

◇4月1日 開幕2戦目のDeNA戦(京セラドーム大阪)で秋山の2番手で登板し、1回無失点でプロ初ホールドをマーク。

◇4月12日 巨人戦(東京ドーム)で今季初先発し、7回パーフェクトで勝ち負けつかず。

◇4月22日 中日戦(バンテリンドーム)でプロ初完投&完封勝利を挙げた。

◇5月9日 ヤクルト戦(甲子園)でセ・リーグのタイ記録となる開幕から31イニング無失点を記録。

◇7月19日 先発投手部門のファン投票1位で球宴に初出場。先発で2回4失点とホロ苦デビュー。

◇9月8日 広島戦(甲子園)で8回途中1失点の好投で、自身初の2桁勝利を達成。

◇10月18日 広島とのCSファイナルステージ初戦の先発を託され、6回1失点でチームを勝利に導く。

◇10月28日 オリックスとの日本シリーズ初戦で7回無失点と快投。相手エース山本由伸に投げ勝った。

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