第2の大竹、細川は生まれるか? 出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化する「現役ドラフト」が今日8日、午後1時より開催される。オンラインによる非公開で行われ、順調にいけば午後5時ごろに指名結果が発表される。

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昨年の現役ドラフトを振り返る。投打の成功例は、議論の余地なく大竹(ソフトバンク→阪神)と細川(DeNA→中日)だ。大竹はプロ6年目で自己最多21試合に投げ、同じく自己最多12勝で優勝に貢献した。制球で勝負するタイプ。豪腕ぞろいのソフトバンクでは出番が限られたが、セ・リーグの野球が合った。細川は今季140試合、131安打、24本塁打、78打点。過去6年の合算以上の数字を1シーズンでたたき出した。和田打撃コーチとの出会いが大きかった。両選手とも移籍を転機に、成功をつかんだ。

阪神が出した陽川は9試合のみ。中日が出した笠原(DeNA)は2試合のみで戦力外となった。阪神、中日は現役ドラフトをフル活用し得をしたと言える。ただ、忘れてはいけないのは、くすぶっていた大竹、細川を指名対象にした前所属球団の決断があったことだ。その決断抜きに、2人の成功はなかった。

出した選手が活躍した一方、取った選手はともに戦力外(ソフトバンク古川は育成再契約)となったソフトバンク、DeNAは損したと言われそうだ。だが、大竹、細川がそのまま残っていても同じように活躍した保証はないし、2人が抜けた分、他の若手は出番が増えたかもしれない。何より球界全体で考えれば、大竹、細川の成功はプロ野球を盛り上げた。移籍の機会を与えたソフトバンク、DeNAの決断も評価されていい。その点で、両球団も制度を活用したと言える。

制度導入前には「戦力外の選手が現役ドラフト要員として取っておかれるのでは」という懸念もあった。初年度に制度を活用しきれなかった球団に、そういう思惑があったとは言わない。移籍1年で戦力外となった6人もチャンスは与えられた。第2、第3の大竹、細川が続けば懸念は完全に消えるし、球界の活性化、ひいてはファンサービスにつながるのは間違いない。