東京6大学野球連盟の法大は9日、川崎市の同大グラウンドで子どもたちの健やかな成長促進や健康への貢献を目的とした社会連携アクション「野球部グランドを子どもたちの遊び場へ」を行った。

いつもは厳しい鍛錬の場であるグラウンドに、子どもたちの元気な声が響き渡った。40人の子どもたちと、選手90人が参加。グループに分かれ、選手手作りの的当て、ティーボール、ドッジボール、リレーの4種目を10分ずつ回った。来年のドラフト候補に挙がる篠木健太郎投手(3年=木更津総合)は、子どもたちに優しく声をかけながら「楽しいですね。子どもたちに元気をもらっています」と、一緒に汗を流した。

思い出すのは自身の幼少時。群馬県明和町生まれでよく外で遊び育った。しかし今の子どもたちは、外で遊ぶことが減少しているという。都会には広い遊び場がなく、公園ではボール使用禁止の場所さえある。「自分も小さいころ、こんなふうに近所のお兄さんに公園で遊んでもらった。今、20歳を超え、逆の立場になった。何かひとつでもプラスの還元ができればと思っています」と話し、子どもたちの輪に加わった。

この日参加した松園崇史君(11)は「ドッジボールが楽しかった。お兄さんたちが優しく教えてくれたし、ボールを投げるスピードも、優しかったです!」と話し、そばで見守った父直久さん(49)に「パパ、楽しいよ!」と、笑顔で報告。直久さんは「こんなに走り回っている子どもの姿はあまり見たことがなかった。笑顔で楽しそうでよかったです」と、あたたかく見つめた。

この企画は15年から早大が取り組んできた。今年、小宮山悟監督(58)が他大学に呼びかけ、東京6大学野球連盟が社会課題解決へと乗り出し実現した。各チームのマネジャーが中心となり今夏から何度もリモートで会議を重ね、それぞれのチームで特色のある企画を立案した。

東大はこの日、午後から都内の同大学グラウンドを文京区の子どもたちに開放。同区の20校の小学校に12000枚のチラシ配布を依頼。先着60組限定に250組の応募があったという。岩瀬笑太主務(3年=開成)は「ここまで反響があるとは思わなかった。スマホ、ビデオゲームが普及する中、外で遊ぶ楽しさをを子どもたちに感じてもらえたらこのイベントの意味があると思います」と話した。

10日は、慶大、明大、早大、立大が同イベントを実施。それぞれ子どもたちにグラウンドが開放される。野球を超え、社会に貢献する。選手たちの可能性は、無限に広がっている。