広島の韮沢雄也内野手(22)が帽子を脱ぐと、少しだけ茶色かった。

「オフ仕様です!」

交流戦の時は黒髪だった。花咲徳栄(埼玉)時代から真面目でもの静か。日本代表での集合写真にも出遅れ、見切れた。

そんなシャイな若者のちょっとした変化。プロ入りから4年が過ぎ、今季はDeNAバウアーや巨人大勢など大物投手から快打を重ねたことで、ようやく台頭し始めた。

それでいて「たまたまですよ、ほんとに」と謙そんするあたり、やはり根はがらっとは変わらない。

新潟・魚沼の生まれ。実家でも祖父母が丹念にコシヒカリを育ててきた。準備の大切さは生活にとどまらず、野球にもしみこむ。「自分の長所は、どんな相手でも絶対になめてかからないことです。なめてかかると、バチが当たる気がするんですよ」。高校時代にそう言っていた。大物打ちもきっと、不変の努力を重ねてきたことに由来する。

もともと派手な性格ではない。「強く言えるようにはなりたいけれど、強く言われて傷ついちゃう人もいる。そこでカバーできる人間でありたいです」と夢見ていた18歳の頃。厳しい世界でもまれ、少し深みも出てきたか。

17日、花咲徳栄OBによる「加須きずな野球教室」に参加した。「来年は100試合くらい…いや、数字の目標ってやっぱり難しいです」と派手なことは言わない。それでもそうそうたるプロ野球選手の中で、子どもたちからの1番人気は地元加須出身のオリックス若月。その次に子どもたちが自然と寄ってきていたのが、いつも優しげな雰囲気だからだろうか、韮沢雄也だった。【金子真仁】

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