井端弘和監督(48)率いる侍ジャパンが強化試合・欧州代表戦(3月6、7日=京セラドーム大阪)で、大抜てきする。

1軍出場10試合の広島田村俊介外野手(20)を始め、育成出身の中日松山晋也投手(23)、17年ドラフト12球団最下位指名のDeNA山本祐大捕手(25)が最終候補に残ったことが25日、分かった。昨年3月のWBC組からはヤクルト村上、ソフトバンク近藤、西武源田、オリックス宮城の“ガチメンバー”が入る中、現役大学生4選手を含め金の卵を侍の舞台で磨き上げていく。

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シンデレラストーリーの序章がすでに始まっている。侍ジャパンの最終候補に、広島田村、中日松山、DeNA山本がそれぞれ名を連ねていることが判明した。3月の強化試合で選出されれば、まさに大抜てき。実績にとらわれない人選で、若き才能に目を付けた。

田村は高卒2年目の昨季、広島での1軍出場わずか10試合ながら、その才能の片りんを見せつけた。開幕1軍を勝ち取り、9月に初スタメン初安打をマークすると、6試合連続安打を続けた。シュアな打撃が持ち味で、投球を受けて左小指骨折を負い、終盤に離脱したものの、打率3割6分4厘と高い数字を残した。

“売り出し中”のままシーズンを終えたかに思われたが、秋季キャンプ中の侍ジャパンとの練習試合で本領を発揮した。阪神及川から中前打、ヤクルト田口から右前打を放ち、左打者ながら左投手をまったく苦にしない打撃を、井端監督の目の前で披露していた。

松山は育成の星として昨季1年目から頭角を現した。育成1位から支配下へ昇格。最速156キロを更新し160キロも視野に入れる右腕で、昨季36試合で1勝1敗17ホールド、防御率1・27を誇った。今季は中日のセットアッパー筆頭候補。昨年3月のWBCでは、オリックス宇田川らが躍動した中で、さらに若き剛腕が浮上した。

山本は17年ドラフト9位で、12球団82番目の最終指名を受けたBCリーグ滋賀出身捕手。6年目の昨季は、最多勝を獲得した東と全24試合で組み、最優秀バッテリー賞の“初タイトル”を受賞した。爆肩が持ち味の25歳は、打撃もパンチ力があり最終候補に残った。現役大学生からも明大・宗山塁内野手(3年=広陵)、青学大・西川史礁外野手(3年=龍谷大平安)、愛知工大・中村優斗投手(3年=諫早農)、関大・金丸夢斗投手(3年=神港橘)の4選手が選出される見込みだ。

WBC組の村上、近藤、源田、宮城がお手本となり時間を共有とすることで、最高の経験を得られる。23日のスタッフ会議で浮上した大抜てき。順調に行けば2月中旬に正式メンバーが発表となる。現状、井端監督の契約は11月のプレミア12まで。その後は流動的だが、トップチームとして26年WBC、28年ロサンゼルス五輪を見据え、日本の底上げを図っていく狙いが透けて見える人選。若き才能を引き出しながら、侍はまだまだ強くなっていく。