昨年、攻守で高校日本代表をけん引し、U18W杯では大会MVPにも選ばれた横浜(神奈川)の緒方漣内野手(3年)が4日、東都大学野球リーグ・国学院大に入寮した。「高校入学の頃を思い出して、身が引き締まるというか、気合が入りました」。木製のバット5本を含む野球用具と勉強用具だけを抱え、実家の川崎市から国学院大の寮へ。5日から、大学の練習に参加する。

昨秋2度、神宮球場で東都大学野球を観戦。そのレベルの高さに圧倒された。「ワクワク、楽しみが大きい。1年春から勝負したい」。U18W杯大会後も「打撃の強さが、まだ高校生レベルなので」と、毎日、木のバットを振り、飛ばす力、打球速度を上げる練習に力を入れた。「執念をもって泥くさく、というのが自分のプレースタイル。そこはぶらさずに。1年から発揮していきたい」と、力を込めた。

緒方には最大のライバルがいる。ポジションは違うが、高校3年間、同じチームで戦ってきた杉山遥希投手だ。昨秋のドラフトで、西武に3位で指名を受け、一躍注目の的となった。スポットライトを浴びる親友を目の前に、高卒プロを諦め、大学進学を決めた緒方には、いつも身近にいたはずの杉山が、遠く輝いて見えた。「おめでとう、という気持ちと…自分も高卒からプロに行きたかったので…悔しさが込み上げてきて」。そんな緒方に、電話で声をかけてくれたのが村田浩明監督(37)だった。「この悔しさを忘れるなよ」。いつか自分も、あの舞台に立つ。「監督の言葉を聞いて、さらにプロに行きたい気持ちなって。この悔しさをもって4年間、野球に励みたいと思います」と、気持ちを高めた。

大学生活も、親友の杉山に背中を押された。普段は大の仲良しで、この日も「今日(の入寮)頑張れよ」とラインがきたばかり。それぞれ別の道で切磋琢磨(せっさたくま)しての成長を誓う。

目標は明確だ。「4年後はドラフト1位でプロに行きたい。そして、もう1度、大学で日本代表のユニホームを着る。将来は、杉山に勝ちたいです」。いつか、プロの舞台で対戦するその日まで。親友のボールを打つ自信は? 「今はまだ(自分に)物足りない。この4年間で『打てます!』と言い切れる自信をつけたいです」と話すと、緒方の目が輝いた。【保坂淑子】