キャッチボール相手から大出世よ。阪神岡田彰布監督(66)が8日、今キャンプ初実戦となる11日紅白戦(宜野座)の先発に高卒2年目の茨木秀俊投手(19)を抜てきした。

もう1人の先発は同学年の門別啓人投手(19)。当初茨木は門別の「キャッチボール相手」として1軍キャンプに招集されたが、第2クールを終えて指揮官が大絶賛。フレッシュな2人が先発ローテ争いを熱くする。

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「もう1人」の19歳に岡田監督も目を細めた。「今日茨木良かったで、最後な。ええ投げ方してるやつは疲れないから球数多く投げられる言うてな。いつラスト言いよるかなと思とったけど、なかなか言わんかった」。ブルペンで力強く68球を投げ続ける姿を絶賛。11日の紅白戦の先発投手を聞かれ「門別と茨木かな、おーん」と即答した。

うれしい想定外だった。当初茨木を1軍キャンプに抜てきしたのは、秋季キャンプでほれこんだ門別の相棒役として。メンバー発表時、岡田監督は「一番年齢的に下になるからなあ。そうやったら2人、入れろ言うたんや。キャッチボール相手にしろって(笑い)」と話していた。

先輩たちに引っ張られながら、持ち味を発揮する茨木を見て、その発言を修正。「門別はちょっとな、一つ抜けたかなと思ったけど。キャッチボール相手でもと思っとったけど最初はな。そんな軽い気持ちやったけど、キャッチボール相手だけではなくなってきてるよな、力つけてな」。自然とこぼれるうれしい笑み。「そういうんじゃ全然なくなってしもうたな」と明るい声で繰り返した。

期待を受けた茨木は、門別との投げ合いに闘志を燃やした。「やっぱり投げるからには負けたくないです。いい投球ができるようにしたいです」。普段は話し相手としても気の置けない「うれしい存在」。5日の休日には2人で卓球を楽しんだ。勝ったのは、門別。「卓球はまあおいといて、野球で勝ちます」とメラメラ。マウンドで2イニングずつの「第2ラウンド」に、負けるつもりはない。

茨木の魅力を聞かれた岡田監督は、次々に言葉を並べた。「そらボール力あるしな。茨木はやっぱりコントロールええよな。ばらつきがないよ、ほんとに。変化球も、スライダーもカーブもいいしな」。まるで今年のキャンプ序盤を象徴するような急成長だ。「ここまでは、若い選手は順調にやってきてる」。19歳のフレッシュな対決から、本格バトルのゴングが鳴る。【磯綾乃】

<茨木アラカルト>

◆生まれ 2004年(平16)6月8日。北海道出身。

◆球歴 札幌・手稲中央小で野球を始める。手稲中では札幌東シニアに所属し、3年の時に全国選抜大会出場。

◆甲子園ならず 新潟・帝京長岡では、元日本ハム投手の芝草宇宙監督の指導を受ける。3年夏の新潟大会では決勝でサヨナラ負け、甲子園出場はなし。

◆いばらぎです 22年ドラフト4位で阪神入団。入団発表で「大阪には茨木(いばらき)市があるが」との問いに「自分は『いばらぎ』です。早く覚えてもらいたい」とアピール。

◆謙さん見ててください 新潟県出身の俳優渡辺謙が阪神ファンと聞き「新潟という地にお世話になったので、新潟出身の有名人の前でいいピッチングをしたい」と意気込んだ。

◆1年目 新人だった昨季はウエスタン・リーグで12試合に登板し、8試合に先発。3勝3敗、防御率6・57だった。

◆サイズ 182センチ、85キロ・右投げ右打ち。背番号48。今季推定年俸500万円。

▽阪神門別(11日の紅白戦へ)「これであんまりと思われてもあれなんで、頑張ります」

○…11日の紅白戦は、先発の茨木と門別を含めて12人が登板する予定。ドラフト2位の椎葉、西純、及川、漆原ら若手を中心に1、2イニングずつを投げる。助っ人勢や青柳、伊藤将、西勇らの実績組は登板せず、才木は2軍キャンプで調整する投手たちとともに、12日の紅白戦に出場する見込みだ。

○…打順は10日の朝に決定? 選手の立候補制で決める案を挙げていた紅白戦の打順について、岡田監督は「明日(9日)休みやから、いっぺんに集まることがないからな。朝の朝食会場にでも貼っといたろうかな」と話した。高卒1年目内野手のドラフト3位山田、同4位百崎も途中出場する予定。打順決定プランは「最終、煮詰めなあかん。うまい方法がなんかないかなと」とギリギリまで考えるつもりだ。

○…岡田監督が今季について、梅野と坂本の捕手併用制をあらためて明言した。「2人で1年やるつもりやもん。どっちかしか使えへんいうことないんやから。どっちを使っても遜色ないんやもん」。伝え聞いた梅野は「もう長いことやってるので。自分なりのパフォーマンスを出せる準備はしっかりやっていきたい」と気合。坂本は「どうしても(昨季)梅野さんがけがしたから出たって言われるのは、面白くない。そうじゃないところ、しっかりやりたい」と力を込めた。