巨人ドラフト1位の西舘勇陽投手(21=中大)が“新フォーク”で輝いた。11日、チームの今季初実戦となる紅白戦で白組の先発としてマウンドに上がり、実戦デビュー。1回を10球、3者凡退に片付けた。7日のシート打撃で抜け気味だったフォークを、この日までに改良した。握り方を変え、球速は2キロ上がり、空振りも奪った。成長を続けるルーキー右腕の存在感が、日に日に大きくなってきた。

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実戦デビューは“開幕投手”だった。西舘が、チームにとって今季初の紅白戦の先発マウンドに立った。緊張感に包まれる中、「投球練習などから少しずつ落ち着いて、投げられた」。まっさらなマウンドで、自分をコントロールした。全球クイックの最速155キロ右腕は、デビュー戦をスピーディーにわずか10球、3分で3者凡退に仕留めた。

改良したフォークが輝いた。1回2死走者なし。カウント1-1から、若林へ外角低めに137キロのフォークを落とし、空振りを奪った。狙い通りに追い込み、最後は117キロのカーブで左飛とした。「球速も良くなったと思う。指のかかりも良かった」と、うなずいた。

テーマは球速だった。7日のシート打撃で抜け気味だったフォークに「落差を求めるか、速さを求めるか、というところで、少し球速のほうを求めてもいいんじゃないか」と、捕手の岸田と話し合った。握り方をボールの縫い目に中指をかけるように調整。4日前から約2キロアップさせた。

努力のたまものだ。「不器用なので練習しないと」と話す。8日は個別練習でフォーク、スライダーの修正を意識し、110球以上を投げた。この日も登板後、再びブルペンで18球を投じ、感覚を忘れないよう体に染み込ませた。花巻東では入学してから1年で球速が15キロアップ、中大での4年間でドラフト1位指名の目標を実現。常に課題を見つめ、進化してきた。

先陣を切る立場を託されたのは理由があった。中大の先輩で、00年ドラフト1位の阿部監督は言った。「いろんなところで、プレッシャーがかかるところで行かないといけない、というのもある。それが宿命なのかな」。背負う看板ゆえに、責任は大きい。坂本も、菅野も、岡本和も…巨人ドラフト1位の宿命と向き合い、大黒柱に成長した。待ち受ける未知の重圧に、備えるための第1歩。1つ1つの壁を乗り越えながら、プロの世界で王道を行く。【上田悠太】

◆西舘勇陽(にしだて・ゆうひ)2002年(平14)3月11日、岩手・一戸町生まれ。花巻東では1年夏からベンチ入りし、2年春夏、3年夏の甲子園出場。中大では1年秋にリーグ戦デビュー。リーグ通算51試合で12勝10敗、防御率1・95。阪神森下は中大の1学年先輩。最速155キロ。185センチ、79キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1600万円。背番号17。

【巨人紅白戦】西舘勇陽が1回を3者凡退/詳細