左腕の大学生侍が最高のデビューを飾り、6投手による“史上初”の9回パーフェクト継投につなげた。今秋ドラフトの目玉とされる関大・金丸夢斗投手(3年=神港橘)が「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024」(京セラドーム大阪)の欧州代表第2戦に先発。2回を6人斬り、4奪三振と完璧な投球を披露した。今回の井端ジャパンに選出された大学生4人衆の1人。武器である直球と制球力で相手を制圧し、全国の野球ファンの注目を一気に集めた。

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大学生とは思えない。学生カテゴリーも含めて初代表の金丸は、緊張のそぶりさえ見せなかった。「たくさんの人に見られながら自分の投球ができた。持ち味であるストレートと制球力を存分に出せて良い結果につながった」。持ち味との言葉通り、糸を引くような直球がコーナーにズバズバ。変化球も巧みに操った。

右打者6人を寄せ付けなかった。先頭セラサの初球に150キロ。スプリットで空振り三振を奪い、フルプはチェンジアップで連続三振。元マリナーズのリディには自己最速に2キロと迫る151キロを投げ込んだ。2回も完璧だった。昨年WBCチェコ代表4番のチェルベンカを空振り三振。2死後のリノには再び151キロで3球三振締めだ。パーフェクト継投の口火を切る形となり、井端監督も「いい流れをつくってくれた」と絶賛。左腕も「完全試合は思ってもなかった。いい思い出になった」と笑顔だ。

野球を始めるきっかけとなった父雄一さんは甲子園大会でもジャッジした審判員。新型コロナウイルスの影響による高校休校期は体づくりに励んだ。時には2時間のランニングに、筋トレも並行。球速が130キロ台中盤から142キロにアップした。振りかぶるワインドアップは関大1年冬に山口高志アドバイザリースタッフの助言で変更。70年代後半の阪急黄金期を支えた剛腕直伝のフォームで動きに流れが生まれ、これも飛躍のきっかけとなった。

「変化球が課題なので」と降板後はベンチで学んだ。同じ左腕のオリックス宮城や西武隅田からスライダーやチェンジアップの感覚を聞いた。「いろんな方にたくさん教えてもらった。これからの野球人生につなげたい。チームに帰ったら全国制覇を目指して。個人的にはプロにドラフト1位で行くことが目標。最終的には日本を代表するピッチャーになりたい」。関西学生リーグで18連勝中。勢いだけではない、確かな実力を大舞台で示した。【大池和幸】

【侍ジャパン】完全リレーで欧州代表下す 先発関大・金丸夢斗から6投手継投/ライブ詳細