悩めるベテラン左腕が奮い立つ。ソフトバンク和田毅投手(43)が25日、開幕ローテーション入りの返上も検討していたことを激白した。

先週までは投球フォームを見失うなど不振に苦しみ、前回の19日阪神戦でようやく復調の兆しをつかんだ。1度は登板回避も考えたが、予定通り4月2日のロッテとの本拠地開幕マウンドに上がる。26日は2軍広島戦に先発し、シーズン前最後の実戦で準備を整える。

不安を払拭させた和田は明るい表情のまま、まさかの舞台裏を自ら切り出した。

「自分でやめようと思ったぐらいだったので…」

実は内定していた本拠地開幕戦・4月2日ロッテ戦の登板を回避する「開幕ローテ入り返上」も検討していたという。「中途半端な状態では失礼だなと思って」。そう明かすほどギリギリの状態だった。

昨年11月、新任の小久保監督から早々に開幕ローテ入りを告げられた。オープン戦などの結果は問われない立場。調整登板の位置づけに過ぎないマウンドで今春、不安ばかりが残った。直球に本来のキレがない。簡単にはじき返される。マウンドでの感触も「投げているボールが分からない」と顔色は曇りっぱなし。原因の1つは「フォームを崩したこと」だった。

昨年末に左ふくらはぎを負傷。1月の自主トレでは左脇に違和感を覚えた。「知らず知らずのうちに『かばう投げ方』になっていた」。転機は前回の19日阪神戦だった。5回を8安打4失点。単純な結果以上に「改善の方向に少しずつ向かっている」と確かな手応えをつかんで今がある。

倉野1軍投手コーチ兼ヘッドコーディネーターからは「間に合わなければ、ずらせばいい」と登板日の延期も提案されていた。それでも左腕は「行かせてください」と志願した。「方向性が見つかったので」。百戦錬磨のベテラン左腕が自信を取り戻せば、首脳陣も止める理由は何一つない。

26日は2軍広島戦に先発し、最長5回で60球以下を投げる予定。シーズン前最後の実戦で準備を整える。この日はペイペイドームで調整し「1週間やってきたことをマウンドで表現できるかな」と言葉に力を込めた。本番へ、完全復調を印象づける。【佐藤究】

【関連記事】ソフトバンクニュース一覧