<ロッテ1-4日本ハム>◇29日◇ZOZOマリン

日本ハム田宮裕涼捕手(23)が球団初の道産子開幕投手を務めた伊藤大海投手(26)を好リードし、チームに5年ぶりの開幕白星をもたらした。バットでも3回に決勝打となる先制打を放つなど2安打1打点1盗塁。攻守で先輩右腕を力強く援護した。6年目で初めて開幕1軍入りし、開幕マスクでも堂々とプレーした待望の正捕手候補が、故郷千葉で大ブレークを予感させる好スタートを切った。

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田宮が“一族”の思いを背負い、故郷千葉で決勝打を放った。母方の祖父と2人の伯父も、自身同様、強豪成田高野球部の捕手だった。伯父、篠原和浩さん(51)は90年夏、千葉大会決勝で元日本ハム小笠原擁する暁星国際を倒し甲子園出場するなど野球一家だが、プロになったのは田宮が初。希望の星が、初の開幕スタメンで輝きを放った。

実家に帰ると今でも祖父から打撃の助言を受ける。今年の正月も指南されたが、言われることは決まっている。「いつも『バッティングは前で打て』しか言われないんですよ。『ボールが近すぎるから、もっと前で打て』としか言われなくって」と笑う。

実は、このアドバイスはある指導者の言葉と重なっていた。「(新庄)監督にもそれ、言われるんで。おじいちゃんの言葉は合っていたんだなって(笑い)。高校時代から、ずっと言われていました、確か」。小さい頃から特長を知り尽くした祖父と同じように、新庄監督もまた、田宮開花のポイントを見抜いていた。

名前の「裕涼(ゆあ)」の裕は田宮が生まれる前に亡くなった母方の祖母裕子さんに由来しているという。打撃のアドバイスから名前まで、親族の期待を一身に背負い臨んだ開幕マスク。高校時代、何度も戦ったZOZOマリンで伊藤を好投に導くだけでなく、マルチ安打1盗塁と、目いっぱい恩返しした。【日本ハム担当=永野高輔】

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