日本ハム伊藤大海投手(26)が「エスコンフィールドHOKKAIDO1周年シリーズ」の初戦を白星に導く力投を見せた。

今季ホーム初先発となった西武戦で7回3安打2失点。きっちり試合をつくり、救援陣の好投と劇的な延長12回サヨナラ勝利でチームの今季初連勝を呼び込んだ。昨季は思うような結果を得られなかったエスコンフィールドのマウンドで、道産子右腕がその借りを返す覚悟を示した。

伊藤が雄たけびを上げた。7回2死三塁で元山を左飛に打ち取り、気合があふれ出た。7回3安打2失点で降板。「先頭打者を出した回に失点したので先頭を切れたら、もっと楽な展開で投げられた」。2回と5回の失点は、ともに先頭打者に安打を打たれていた。7回も先頭打者に安打を許したが、「球数的にもここ(交代)かなというところだったので、出し切りって感じで」。三度目の正直で負の流れを断ち切った。

延長12回、サヨナラ勝ちが決まると、ベンチを飛び出し、ヒーローのマルティネスにかけよった。信念を持って取り組んできた成果が、チームの劇的勝利につながった。昨季は11試合に先発して1勝7敗で防御率5・10だったエスコンフィールド。昨年12月、年俸1億円を突破した契約更改後の会見で「エスコンフィールドで1勝しかできなかったので、エスコンフィールドと心中するためにも1月(の自主トレ)はエスコンでやります。ここで勝って北海道のファンの皆さんとたくさんの喜びを分かち合いたいっていうのが一番の思い」と熱い気持ちを吐露した。

充実の設備がそろう世界でも最先端の球場で、初めて開幕投手を務めた4年目に備えた。もちろん、そこで多くの時間を過ごすことが白星に直結するわけではないと分かっている。気持ちの問題だ。

伊藤 自分の中で何かきっかけが欲しい。いつも試合前にいるロッカールームとかで「1月にこれだけやったから大丈夫だ」「俺は、これだけやってきた」って試合前に思えるようにできればなと。

全ての取り組みに意味を持たせ、やり尽くしたことで抜けた本拠地での負のトンネル。「チームが勝ったことが本当に何より」。その勝利への起点は感情を前面に出した7回の雄たけびから。ドラマチックな幕切れの起点となった投球は、道産子右腕の覚悟が詰まっていた。【木下大輔】

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