悩める鷹の4番が試合を決定づけた。ソフトバンク山川穂高内野手(32)が3打数2安打3打点の大活躍。1点を追う初回1死一、三塁から同点適時二塁打を放った。1点リードの7回2死二、三塁では左前への2点タイムリーでダメ押し打。不調に苦しんだ主砲にようやく快音が戻った。チームも連敗を「2」で止め、首位をがっちりキープ。12日からは古巣・西武(ベルーナドーム)との3連戦に臨む。

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4番山川がトンネルを抜け出した。0-1の1回1死一、三塁。日本ハム北山の外角高めフォークを仕留めた。降りしきる雨を切り裂くような、低く鋭い打球が飛んでいく。左翼手のグラブをかすめるも、左越えの同点適時二塁打となった。「いや、もう。甘い球を仕留められた」。実に4試合ぶりの快音。13打席連続ノーヒットに苦しんでいた主砲に、本来の姿が戻った。

打てばヒーロー。凡退で戦犯扱い。主砲の重責を常に感じる。9日の日本ハム戦(リブワーク藤崎台)では4打数無安打。全打席が得点圏で回ってきたが沈黙だった。「僕が1本、2本打てたら…」。悔しさは行動に出る。ナイターゲームの試合後は、チームバスで熊本からペイペイドームまで約2時間の移動。そのまま帰路につく選手がほとんどだったが、山川は室内練習場へ向かった。「家に帰ろうとも思ったけど…。感覚を良くしたかった」。約1時間。深夜0時を過ぎても、黙々と打撃マシンを打ち続けた。「技術的なところを整理しないとダメだなと。修正をちょっとかけた。そこが今日は良かった」。

1点を勝ち越した7回。なおも2死二、三塁の第4打席では試合を決定づける2点タイムリーを放った。日本ハム・マーフィーが投じた9球目。内角ツーシームに詰まりながらも、持ち前のパワーで左前へ運んだ。「球が速くて、カーブもキレていた。ついていく感じだった」。追い込まれてからファウルで3球粘った。粘り勝ちの1本だった。

チームも連敗を「2」で止め、首位をがっちりキープした。12日からは昨シーズンまで在籍していた西武との敵地3連戦で首位攻防戦となる。しかも相手先発はエース級の今井だ。山川は「球界を代表する投手。対戦するのは楽しみ」。息を吹き返したスラッガーが、元同僚との対決を心待ちにした。【佐藤究】

▽ソフトバンク牧原大(2回に適時三塁打)「とにかく上位打線につないでいこうとコンパクトにスイングを仕掛けた。結果的にタイムリーとなる打撃ができてよかった」