あるぞCS抜てき! 阪神新人の早川太貴投手(25)が甲子園初勝利を挙げた。6連勝中だったDeNA打線を6回6安打無失点に抑え、プロ2勝目。初先発初勝利を挙げた8月27日からDeNA相手に2試合計11イニング無失点で防御率0・00を維持した。クライマックスシリーズ(CS)の登板に向けたアピールにも成功だ。チームは4連勝でシーズン83勝に到達。球団最多まであと4勝とした。
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早川はほほ笑みながら大歓声を浴びた。甲子園での初勝利。初めて本拠地でお立ち台に上がった。
「前回もうれしかったんですけど、ファンの皆さんと一緒に、本拠地で勝ててすごくうれしいです。すごく楽しかったです」
7月に支配下昇格し、プロ2度目で甲子園では初の先発。初回無死一、三塁から筒香を右飛、ビシエドを遊ゴロ併殺。ピンチをしのいだ。3者凡退の3回以外は安打を許すも、計3度の併殺など粘った。「野手の方の声掛けもファンの方の声援もすごかった。ピンチもピンチな感じがせず強気にいけた」。6回6安打無失点。先発デビューから2戦2勝で防御率0・00をキープした。
国立の小樽商科大を卒業後、北広島市役所で勤務の右腕。不完全燃焼だった野球への気持ちが、NPBの舞台までつれてきた。大麻高3年夏、大会の約1カ月前に右肘を骨折。試合に出られず最後の夏が終わった。大学3年時の20年シーズンはコロナ禍。緊急事態宣言発出等があり練習すらあまりできなかった。4年秋はリーグ戦があったが、制限は大きいまま引退した。
「プロより、できるところまでやりたい。せっかく頑張ってきたのに、やりきれないまま終われない」
プロへの気持ちも少しあったが、とにかく燃え尽きるまで野球をしたい。公務員になるための勉強中の同3年時に、社会人クラブチームへの入団を決意。「球速150キロ到達」などを目標に設定した。そこで球速等の技術の成長を実感。「上の世界でやりたい」と現実的に思うようになった。
ルーキー右腕が躍動し、チームは28度目の完封勝利。4連勝で球団シーズン最多タイ87勝も見えてきた。藤川監督は「良さが十分に出た投球でしたね」と評価した。2度の先発はともに2位DeNA相手で好投。CSで対戦する可能性もある球団で「チャンスをもらえたときにしっかり投げられるように次につなげたい」。先発の駒が豊富な虎の投手陣だが、抜てきされる可能性はゼロではない。育成出身右腕のシンデレラストーリーはまだ終わらない。【塚本光】
◆早川太貴(はやかわ・だいき)1999年(平11)12月18日生まれ、北海道・江別市出身。大麻高から小樽商大に進学。卒業後は北広島市役所で働き、社会人クラブチームのウイン北広島と北広島市職労野球部(軟式)に所属。トライアウトを経て昨季はウエスタン・リーグくふうハヤテでプレー。24年育成ドラフト3位で阪神に入団し7月13日に支配下昇格。右投げ右打ち。185センチ、95キロ。支配下昇格後の今季推定年俸は420万円。
▽阪神梅野(早川のピッチングについて)「本当によかったと思う。四球を出さないテーマを掲げながら、しっかり攻めていく。いろんな球を使いながら粘り強くナイスピッチングだった」
▽阪神安藤投手チーフコーチ(先発2戦2勝の早川について)「落ち着いて投げられた。落ち着いてダブルプレー取れたし。最高のピッチングができたのかなと思います」



