<オープン戦:阪神5-2巨人>◇11日◇スカイマーク

 足下をすくえ。「いや~な2人」が巨人カク乱に成功した。阪神は11日、今季初めて巨人とオープン戦(スカイマーク)を戦い、5-2で勝利を収めた。岡田監督は「巨大戦力」に対し、赤星憲広外野手(31)と平野恵一外野手(28)の快速コンビを1、2番に配置。5回の攻撃では、足をからめて巨象の足下をグラグラと揺さぶった。2人がコンビを組むのはこれがまだ2試合目。息が合うにつれ、相手チームの「嫌々度」も増していきそうだ。

 かつてないスピードを武器にして、重量打線に対抗する。打倒巨人、そしてV奪回に向けて、俊敏な「チョロQコンビ」が明るい道筋をつけた。

 赤星と平野の並びが相乗効果を生んだのは5回だ。2死から1番赤星が出塁すると2番平野がつなぐ。カウント1-2で巨人バーンサイドの高め速球を、叩くように振り切る。中前に転がった白球をセンター鈴木尚がファンブル。赤星は見逃さず、二塁ベースを蹴って、一気に三塁へ。瞬時に好機を拡大したシーンには、広沢打撃コーチも思わず胸を躍らせた。

 広沢打撃コーチ「巨人としては嫌だろうな。投手も気を使わないといけない。今日は4番新井だけど、本番は金本も控えている…。(走塁以外の細かい攻撃は)シーズンにとっておこう。敵に情報を与える必要はないよ」。

 リードオフマンの2人が1、2番で並ぶのは7日楽天戦に続いて今季2度目。一塁に走者赤星を置く状況で2番平野が打席に入るのは、実はこの日が初めてだった。3回2死。一走赤星の盗塁を予測した平野は3球待った末に、空振り三振。直後に一塁側ベンチで赤星から声を掛けられた。「ごめんな。オレを気にせんでええで。もっと普通にしてくれていいからな」。シーズン本番に向けて試行錯誤し、意思疎通を図った。

 平野「(3回の)2打席目は赤星さんとのコンビを考えすぎた。(中前打の)3打席目は2死からチャンスを広げられた。そういうことを期待されてますし」。

 得点には結びつかなかったが、多彩な攻撃パターンを予感させる光景だった。2月の宜野座春季キャンプ序盤に平野が左太もも裏痛でリタイア。もっとも残念がったのが、岡田監督だった。「クリーンアップがしっかり固まれば赤星、平野の1、2番が面白い。一番見たかったのが平野の動き」と話していた。

 10日には、阪神SD職を務める日本代表の星野監督も「これからは仕上げの段階。勝ちパターンを作っていかないといけない」と語った。新井、金本ら頼もしい主砲が控えるだけに、よどみのない2人の連続攻撃は『勝利の法則』になりえる。打線の火付け役として自覚も十分だ。

 赤星「2人でかき回せる状況を作れれば、すごくいい。打順はどうなるか分からないけど、平野が2番に入るなら(相手に)ややこしい2人になれればいい」。

 平野「赤星さんが塁に出たら『さあ、何をしようかな』と思える。2番を打つなら『最高の1、2番』と言われるようにしたい」。

 宿敵巨人がパワーで勝負するなら、阪神は機動力を生かしたバランスあふれるラインアップで戦う。機敏な2人が塁上を賑わせば、打線の破壊力は何倍にも増す。【酒井俊作】